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鎌倉で「無銭旅行」体験 財布を持たずに一日を楽しむ

ソンベカフェの「持ち寄りランチ」。冷蔵庫の余り物や庭に生えている食材などを1品を持参して楽しく食事。持参できない場合はキッチンで手伝いを

ソンベカフェの「持ち寄りランチ」。冷蔵庫の余り物や庭に生えている食材などを1品を持参して楽しく食事。持参できない場合はキッチンで手伝いを

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 鎌倉で12月9日、金銭の授受を行わず一日を過ごすイベント「鎌倉壱日無銭旅行」が開かれる。主催は鎌倉を持続可能な社会にする目的でさまざまなプロジェクトを企画運営しているNPOかまわ(鎌倉市御成町)。

「旅のしおり」がカラフルなのは、手にして歩く旅人同士が認識し合ってほしいから。気軽に情報交換することで無銭旅行がさらに楽しくなる

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 資本主義や大量消費社会の見直しを考えるカナダ発祥の「無買デー」をヒントに、消費者側のボイコット運動ではなく「無売デー」とアレンジし、楽しく幸せな体験にしようと始まった同イベントは今回で7回目。第1回の参加は3店だったが、共感する店が増え今年は20店で行う。

 もともとは物々交換が中心だったが、交換する物を持っていなかった参加者が歌やダンスなど特技を披露し店員を喜ばせることで物の代わりとした。そこで、モノだけでなく現在はコトも交換の対象になっている。

 今回も不動産店「ココハウス」では自分の町自慢を話すとコットンパールのアクセサリーワークショップに参加でき、たい焼き店「なみへい」では店頭で15分間の呼び込みをするとたい焼き1個を、ハーブ店「ハーツイーズ」では窓拭きをすると持参した水筒やタンブラーにハーブティーを、「鎌倉レンタカー」では車内の拭き掃除などで車を1時間レンタルできるなど、各店がコトとモノ、コトとコトの交換も用意する。

 参加者は参加店で地図の載った旅のしおりを手に入れ、旅人となって市内を歩く。旅人同士が情報交換しやすいように、しおりには目立つ色を付けた。「鎌倉に来てこんなにしゃべったことはない」「観光地で友達ができたのは初めて」「お金の意味を考えさせられた」など、単なる観光では得られなかった体験を語る参加者が多いという。

 当日はコンシェルジュとして明治学院大学の学生が参加。さまざまな交換ネタを仕込んだ屋台を引きながら市内を移動する。

 同NPOの宇治香さんは「今年から『スタッフ』という言い方を改め、主催側や店側も『旅人』と呼ぶことにした。店は労力や経費がかかる上に収入もない1日だが、自分たち自身も同じ旅人として対等に楽しもうと思っていただけた。通常の客と店の関係ではなく、金銭の授受を介さない、人と人とのコミュニケーションを相互に味わってほしい。当たり前のように使いとても便利なお金だが、なくても一日を過ごせることを体験し、お金と物の経済ではなく人と人が生み出す経済につて考えるきっかけにしてもらえれば」と話す。

 開催時間は店舗により異なる。

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