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藤沢に映画館の灯をもう一度 ミニシアター設立に1,000万円寄付プロジェクト

プロジェクトを立ち上げた竹中翔子さん。物件探しで出会った古い写真館で

プロジェクトを立ち上げた竹中翔子さん。物件探しで出会った古い写真館で

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 藤沢で映画の自主上映会を行っている「シネコヤ」(藤沢市鵠沼松が岡4)が、常設のミニシアターオープンに向けて支援を募る寄付プロジェクトを立ち上げた。

「扉を開けて入った瞬間にここだ!」と運命的な出会いを感じたという元写真館。レトロな雰囲気をそのままにリノベーションし「街の小さな映画館」オープンを目指す

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 「2010年までに藤沢駅周辺の映画館が全て閉まってしまいショックを受けた」と振り返るのは、学生時代に市内の映画館でアルバイトをしていた代表の竹中翔子さん。「小さくてもいいから何かできないかと、NPO法人事務所の物置や鵠沼海岸のレンタルスペース『アイビーハウス』を拠点に上映会を始めた」と話す。

 2013年からミニシアター作品をセレクトした映画会「隠れ家シネマ」や懐かしい名画を見る「鵠沼シネマ」を定期的に開いてきた。

 昨年11月には仲間と「藤沢国際映画祭」を立ち上げ、藤沢駅周辺のレストランやカフェ、ホール、ライブハウス、コワーキングスペースなど11会場で12本の映画を延べ25回上映、655人を動員した。来場者側からも、会場側からも継続してほしいという声が上がり、今年も6月17日から第2回を開き竹中さんが実行委員長を務める。

 こうした活動の一方で、「いつでもそこへ行けば映画と出会える、街の人たちに愛される常設の映画館が作りたい」と考え物件を探した。出会ったのは小田急江の島線鵠沼海岸駅からすぐの商店街にある元写真館「カンダスタジオ」。写真のサンプルが並んでいたであろうガラスケースのカウンターなどレトロな内装も気に入り、カフェも併設したミニシアター設立を決めた。

 開業に必要な費用は、上映機材、防音工事、内装工事、什器など総額2,000万円。半分を融資で、残りは寄付を募ることにした。寄付の方法はホームページ経由の振り込み、協力店などに設置した募金箱のほか、6月1日からインターネット上で支援を募るクラウドファンディングも始めた。

 クラウドファンディングでは防音工事費の一部200万円が目標額。通常は支援者へのお礼として「リターン」を用意するが、「ほかの方法での寄付との差を付けることが難しく、1円でも何百万円でも支援してくださった人には全て同じありがとうを返したいから」と、お礼状を送るのみという異例のプロジェクトになった。

 竹中さんは「シネコンが全盛で便利だけれど、どこへ行っても同じような空間で同じような作品の印象。かつてそれぞれの街にそれぞれの映画館があったように、小さくても個性的な映画館を復活させたい」と話し、「クラウドファンディングは7月末まで。寄付は引き続き募り、秋のオープンが目標。映画館が消えた藤沢に再び映画の灯をともすために、ぜひ支援を」と呼び掛ける。

 寄付やクラウドファンディングの詳細はホームページで確認できる。

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