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段葛から鎌倉の歴史をひも解く新刊 小さな会員制図書館から誕生

新刊の表紙とその原画。江ノ電が若宮大路を走っていたころの風景を水彩画家の矢野元晴さんが描いた。車体カラーはあえて現在の江ノ電のイメージで依頼したという

新刊の表紙とその原画。江ノ電が若宮大路を走っていたころの風景を水彩画家の矢野元晴さんが描いた。車体カラーはあえて現在の江ノ電のイメージで依頼したという

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 鎌倉の小さな会員制図書館が縁で1月18日、若宮大路・段葛(だんかずら)にスポットを当てながら鎌倉の歴史をひも解く書籍「鎌倉千年の歩み~段葛からのオマージュ~」が書店に並んだ。著者は浅田勁(つよし)さん、発行元は歴史探訪社。

著者の浅田勁さん。神奈川新聞社で編集局社会部、企画部、東京支社報道部長代理、総務部長、横須賀支社長兼報道部長、広告局長などを歴任している

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 同書は2016年1月から3月まで神奈川新聞に掲載された「段葛再生~歴史の舞台を歩く~」に浅田さん自らが大幅加筆した。源頼朝によって造営された段葛を縦軸にして鎌倉時代から室町、戦国、徳川時代、近世、現在までの鎌倉をたどる内容。「鎌倉のメインストリートともいえる段葛に視点を置いたという意味では初めての本だと思う」と浅田さん。「同じ道を歴史上の人物たちが往来し、現在も市民や観光客が歩いている。昨年の春まで行われていた改修を機に、その歴史をあらためて調べた」と続ける。

 浅田さんは1944(昭和19)年、神奈川県生まれ。神奈川新聞社出身のジャーナリストで歴史研究家。著書に「海軍料亭 小松物語」「幕末動乱」「三浦一族と相模武士」(斎藤悦史氏との共著)、「東国武士の鑑 土肥実平」(加藤雅喜氏との共著)、「鎌倉新聞」などがある。

 浅田さんがメンバーになっている会員制図書館「かまくら駅前蔵書室」(鎌倉市小町1)で、代表の鈴木章夫さんとの会話から書籍化のアイデアが生まれ、市内の同出版社に企画を持ち込んだ。

 同書には浅田さんの著作だけでなく、鶴岡八幡宮・吉田茂穂宮司、鎌倉市観光協会・井手太一会長、鎌倉商工会議所・久保田陽彦会頭による座談会、女優の鶴田真由さんや音楽家の吉井瑞穂さんらが語る「私の段葛ストーリー」のほか、同出版社の提案で鎌倉の写真家・原田寛さんによる巻頭写真をはじめ、近世の段葛の写真、年表、都市計画、1954(昭和29)年の在住著名人一覧、1961(昭和36)年の住宅地図などを加え、バラエティーに富んだ構成となった。

 表紙絵の矢野元晴さん、写真撮影の佐久間芳之さんや松藤飛洋さんなども同蔵書室の会員で、鶴田さんのインタビューも同蔵書室で行うなど集まる人や場を活用した。

 浅田さんは「蔵書室に通うようになり、出会う多くの人たちからも刺激を受けた。彼らの協力をはじめ、取材させていただいた皆さんや出版社に感謝している。後世に残せるような内容になったはず。新しい視点で鎌倉を読んでいただければ」と話す。

 定価1,300円(税込み1,404円)。B5判、96ページで一部カラー。同蔵書室、鎌倉市内の書店をはじめ全国の書店で購入できる。

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