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鎌倉・谷戸に仏像写真ギャラリー モノクロ作品一堂に、秘仏写真も

ギャラリー名の「山門」の由来は「山門を通らないと仏様に会えないから」と湯川さん

ギャラリー名の「山門」の由来は「山門を通らないと仏様に会えないから」と湯川さん

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 鎌倉・谷戸の住宅地に4月8日、写真家・湯川晃敏(こうびん)さんが撮影した仏像などのモノクロ写真だけを展示した「佛さま写真観 山門」(鎌倉市二階堂)がオープンした。

1689(元禄2)年に水戸光国が寄進したといわれてる瑞泉寺の千手観音菩薩坐像(撮影:湯川さん)。実物の高さは37.2センチだが写真はサイズ以上の迫力が伝わる

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 音楽家だった父親が40年前に自宅の隣に建てた音大生のための寮を改築、2つの展示室を設け「拝観堂I」「拝観堂II」と命名した。展示しているのは鎌倉市内48寺社の仏像などの写真165点。湯川さんは「反射しないように無光沢紙にすべて自分でプリントした。モノクロが引き立つように照明も落としている」と話す。

 湯川さんは1935(昭和10)年に広島で生まれ、日大芸術学部写真科在学中に映画の撮影助手のアルバイトを始めた。卒業後大映東京撮影所に8年間勤務した後、写真家に転向。友人に誘われて出掛けた上高地の寺で撮った仏像の写真が出版社・かまくら春秋社(鎌倉市小町)の現社長・伊藤玄二郎さんの目に止まり、1975(昭和50)年から「鎌倉のみほとけ」(第1~4集、別巻)の撮影を担当した。

 展示した写真は同書に収録したものが中心で、「何度も通いようやく撮影許可が出たものも多い」と話す湯川さん。「集まった檀家(だんか)さんたちの前で撮影したり、たくさんの僧侶による読経が響く中で撮影したり、1枚目のシャッターを切るまで2時間近く掛かったりしたことも」と笑う。時代とともに拝観できなくなった仏像も増え、展示している作品の4分の3が現在は非公開となっている。

 仏像のアップや斜めの大胆な構図、韋駄天立像はあえてブレを生かし動きを感じさせるなど趣向を凝らした作品も。「資料用の記録写真撮影が一般的で、作品として撮影すること事態が珍しかった時代だった」と振り返る。モノクロで撮影した理由を「損傷が激しい仏像が多くカラーではリアル過ぎるため」と話すが、「その分ライティングには苦労した」という。

 原寸大で展示した英勝寺のわずか2.5センチの阿弥陀三尊像、1本の常夜灯だけで撮影したという高徳院の大仏(阿弥陀如来座像)ほか、国の重要文化財、県や市の指定文化財、秘仏などを撮影した貴重な作品も並ぶ。

 湯川さんは「檀家の人に、僧侶に、何より仏さまに喜んでいただけることを考えながら撮影した。もちろんご来場の皆さんにも喜んでいただければ」と話す。

 開館時間は11時~16時。月曜~水曜定休。入館料200円。

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