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大磯の田んぼから生まれた「僕らの酒」 今年は山田錦でどぶろく

牧野伊三夫さんデザインのオリジナルラベルもメンバーが手作業で一枚一枚貼った

牧野伊三夫さんデザインのオリジナルラベルもメンバーが手作業で一枚一枚貼った

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 NPO西湘を遊ぶ会(中郡大磯町大磯)は大磯の酒販店などで4月8日、大磯農園で栽培した酒米・山田錦を使ったどぶろく「僕らの酒」(通称ボクサケ)の販売を始めた。

熊沢酒造での瓶詰め、生酒の殺菌をする火入れの作業なども会のメンバーで行った

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 農家の高齢化などによって増加する耕作地放棄の問題を「あそび=酒米づくり」で解決しようと2008年4月に「僕らの酒」プロジェクトを立ち上げた同会。神奈川県大井町の田んぼの開墾からスタートし2010年からは大磯町に移って活動、酒米の山田錦を栽培し酒造りを行っている。

 無農薬、無肥料、天日干しにこだわり、昨年春の田んぼづくりから6月の田植え、10月の稲刈りまでほぼ順調で、メンバーが交替で30日以上農作業を行った。醸造は、湘南エリアに残る唯一の蔵元・熊沢酒造(茅ヶ崎市香川)に依頼し、敷地内にある防空壕から採取した天然酵母を使ってどぶろくを約1000本造った。

 「山田錦を使ったどぶろくは全国でも珍しく、無農薬となると前例がないはず」と話すのは同会の塩谷卓也さん。「どぶろくらしい甘味と米のうま味、天然酵母の爽やかな酸味が加わって幅広い層の方が楽しめる味に仕上がった」と続ける。

 ラベルのイノシシのイラストは、2012年秋の収穫前に田んぼがイノシシによる被害を受けたことから「まあいっしょにお酒でも飲んで仲良くしようよ、もう田んぼを荒らさないでねという願いを込めた」という。デザインは同会代表の知り合いで、雑誌「暮らしの手帖」表紙イラストや小説「かもめ食堂」の装丁などを手掛ける牧野伊三夫さんに依頼した。

 塩谷さんは「購入していただくのはもちろんだが、興味のある方は酒米作りからぜひ参加を。一人でも家族でも参加でき、畑も使える。週末は大磯で農的生活を楽しみ、来春は自分たちで造った『僕らの酒』で一緒に乾杯を」と呼び掛ける。

 同酒は精米歩合90パーセント、アルコール分10度、容量720ミリリットル。価格2,000円。大磯の「地場屋ほっこり」「井上蒲鉾店」ほか町内の協力酒販店、インターネットで購入できる。

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