鎌倉の老舗精進料理店「鉢の木」(鎌倉市山ノ内、TEL 0467-23-3723)は現在、昨年秋に行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)で、鎌倉を訪れた各国の首脳夫人向けに作られた昼食メニューを「賓客おもてなし膳」として提供している。
素材、味にこだわり、見た目にも美しいAPECで提供されたメニュー。写真は、木の実豆腐や黒豆の寄せ揚げなどの7種を盛り合わせた「木皿」
昨年11月に発行された「ミシュランガイド東京・横浜・鎌倉 2011」で、1つ星を獲得した同店。同メニューはAPECで好評だったことに加え、多数の問い合わせがあったことからメニュー化を決めた。
「各国で異なる食習慣、宗教戒律をクリアするものとして精進料理となったが、各種調味料もアルコールを含まないものを選び、味付けも普段より濃いめにするなど細心の注意を払った」内容となっている。同店社長の藤川さんは、「旬の野菜を工夫して、無駄なくおいしく食べる日本の料理の知恵と伝統が現代も継承されていることを世界に伝えようと心がけた」と話す。他の国では食べない根菜や木の実などを取り入れ、見た目も美しく食べられるよう工夫した。
献立は、「鉢の木が長年にわたって精進料理を追求してきた技術の結晶」という自信作。内容は、木の実豆腐や黒豆の寄せ揚げなどの7種を盛り合わせた「木皿」、レンコン餅に天上昆布などを添えた「焼物」、水菜、シイタケ、ニンジンのおひたし「坪」、ジャガイモとタマネギのすり流し、冷製スープ仕立ての「椀替」、年輪湯葉などの「炊合」、エビ芋含め揚げほかの「揚物」、白飯、けんちん汁などの「汁飯香」、柿、リンゴの「水菓子」。
「日本料理、精進料理というと敷居が高く感じられる向きもあるが、気軽に楽しんで、私たちの国の料理文化を楽しんでいただければ」と藤川さん。
料金は8,085円。2日前までに予約が必要。