茅ヶ崎のギャラリー「カロカロハウス」(茅ヶ崎市中海岸2、TEL 0467-58-8331)で8月24日より、靴作家・靴職人・靴デザイナーとして仕事をする曽田耕(そだこう)さんの個展「100 shoes(さる靴つくるさ)」が開催される。
曽田さんは1971(昭和46)年大阪生まれの東京育ち。1992年に都内の高等職業技術訓練校製くつ科を卒業し、表参道の路上で活動を開始。同ギャラリーでの作品展は、ギャラリーが原宿にあった2001年からで今回7回目。曽田さんについて、10年以上親交のある同ギャラリーオーナーの木村みどりさんは「両親ともに物理学の研究者で、創意工夫や発想を大切にする環境だったようだ。おもちゃなどを買い与えられず身近なものは自分で作って間に合わせる暮らしの中で、靴だけがどうしてもうまく作れず靴作りを学んだと聞いている」と話す。
90年代後半からコンスタントに日本各地で靴やかばんの作品展を開いてきた曽田さんだが、「労力や経済性、多忙な中での消費するような作品作り」などに疑問を抱き始め、一昨年から約2年間、展覧会活動を一切休止。オーダー靴の製作や技術開発、卸の体制作りなど「集中して取り組みたい仕事」に専念してきた。そんな曽田さんの心を動かしたのは、展覧会を望む周囲からの「真面目に用意周到に準備しすぎるから大変になる。計画通りに進まなくても何とかなるよ」という言葉。木村さんにも背中を押され、4年ぶりの茅ヶ崎での個展が決まった。
展示するのは、革の廃材を使ったパッチワーク風のひも靴「S3」(2万9,000円)、バックストラップでカジュアルに履ける「S4」(2万2,000円)、分業が一般的な木型作りから自身で手掛けたブーツ「K1」(5万9,000円)、一枚革で作った草履「Z1」(1万6,000円)、カラフルに着色した新作の「スリッパ」(5,000円)など、計100足。ほかに製作した靴を記録した冊子(販売あり)、曽田さんが「楽しんで描いた」絵も展示する。サイズは23センチ~26.5センチがメーンだが、その前後のサイズもそろえる。
「購入時が美しさのピークで、後から型崩れが起こるのが普通の靴。曽田さんの靴は、購入時は少し人見知り、履き込んでその人らしくなっていく」と木村さん。「生き物のように一緒に年をとってもかわいい、家族のような一足になる」とも。
開催時間は10時~18時。水曜・木曜定休。9月4日まで。初日は曽田さんが在廊する。