平塚市美術館(神奈川県平塚市西八幡1)は10月6日から、企画展「ミニチュア世界の扉を開く 魅惑のドールズハウス展」を開催する。
西洋で生まれた「ドールズハウス」は、建物や調度品を縮小し、緻密で精巧に再現。その完成度の高さで、素晴らしい美術工芸品と評されているものも多い。同展では、かつて英米の2大プライベート・コレクションといわれた、イギリスの「旧ヴィヴィアン・グリーン・コレクション」とアメリカの「旧モッツ・ミニチュア・コレクション」(現在は一部を国内のコレクターが所蔵)などの歴史的・芸術的に貴重なドールズハウスを展示する。
ヴィヴィアン・グリーンは、映画「第三の男」の原作者グレアム・グリーンの夫人。ドールズハウスの研究者でコレクターでとしても知られ、当時多くが廃棄される運命にあったアンティークのドールズハウスに価値を見いだし、人々にその素晴らしさを再認識させるという業績を残した。今回展示するグリーン夫人が所有していた「ハスケル・ハウス」は、18世紀後半作のアンティークの名品といわれている。
一方、「モッツ・ミニチュア・コレクション」は、アレグラという15才の少女が、趣味を同じくする少年デウィット・モッツと出会ったことから始まる。、ミニチュアをこよなく愛する二人は後に結婚、ドールズハウスの制作に全精力を注ぎ、やがて3人の子どもたちも制作に加わる。一家族が手掛けるドールズハウスは、過去から現在に至るアメリカの暮らしを伝えるものとして話題を呼び、ついにはロサンゼルス近郊に展示場が開設され、長きにわたり人々の目を楽しませることとなる。今回展示するコレクションの中でも、モッツ家の人々が自分たちの住居を再現した「デモイン・バンガロー」は、家を四方向からのぞき込める珍しいタイプのドールズハウス。
会場にはほかに、文豪トマス・ハーディの家や、ピーターラビットの作者ベアトリクス・ポターが住んだヒルトップ・ハウスなど、現代の優れたドールズハウス作家の作品を並べる。ドールズハウス約40点に加え、家具や食器などのミニチュア美術工芸品を多数展示。
「優れた美術工芸品であり、『見て楽しい、作って楽しい、集めて楽しい』という子どもから大人まで幅広く楽しめるドールズハウスの魅力を伝えたい」と同学芸員の小池さん。
開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館。※10月8日(月・祝)は開館、翌日休館。 一般観覧料は700円。11月25日まで