湘南や西湘在住者をターゲットに海辺の暮らしを楽しむためのフリーマガジン「海の近く」が4月、創刊した。
湘南T-SITEでの原稿のチェック風景。特定の編集室を持たないプロジェクトのため、「海の近く」エリア内を移動しながら打ち合わせを行っている
食をメインに、人、住まい、アート、カルチャーなどの地元情報を発信する同誌。「誌名は葉山や逗子から小田原、湯河原、箱根にかけての相模湾沿いをイメージした。このエリアには魅力的な情報があふれている」と話すのは執筆と編集を担当した塩谷卓也さん。
塩谷さんはアジア、スペイン、中南米、南極など70カ国以上を旅行し、現在は中郡二宮町在住のライター。友人のライター・北條尚子さんとデザイナー・小嶋あずささんと共に、読み捨てされず本棚に置きたくなるフリーマガジンを目指し1年前にプロジェクトを立ち上げた。
創刊号の特集は「週末は海辺のマルシェへ」で、6年前に始まり県下最大規模の朝市になった「大磯市」や茅ヶ崎公園野球場で開かれる「海辺の朝市」、辻堂の湘南T-SITEで開かれる「湘南メルカート」などを、それぞれの特徴や背景も詳しく伝えた。「大磯市」では開催日の朝に、実行委員長で漁協組合長でもある加藤孝さんの漁船に同乗したリポートも掲載。同市のこだわりや人気の秘密なども読み取れるよう構成した。
読者からは「読み応えがある」「捨てられない」「二度三度と読み返した」という感想をはじめ、「東海道線に乗って1時間、東京駅に着いたときに読み終えた。フリーマガジンとは思えないボリュームだった」という報告もあったという。
現在取材中の2号の特集は「サンドイッチ持って、海へ」で6月に発行。以降は月刊での発行を予定している。
塩谷さんは「実はいつも暮らしている地元の魅力にまだ気付いていないケースが多い。面白いところを、角度を変えて伝えることで、読者が新たに発見したり再認識したりしていただければうれしい」と話し、「初めて作って実感したのは営業の難しさ。作る楽しさの反面、広告集めには苦労している。だからこそ読者はもとより広告主のためにも、よりクオリティーの高いものを作って応えていきたい」と意気込む。
発行部数は1万5000部。葉山、逗子、横須賀、鎌倉、藤沢、茅ヶ崎、平塚、大磯、二宮、小田原、箱根、秦野、藤野、都内などの200店舗で配布。設置店舗はフェイスブックページで確認できる。