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江の島の自然現象「トンボロ」を観光資源に 常設階段を整備

江の島から「トンボロ」をつなぐ階段。使用できるのは干潮など自然条件がそろった日だけに限られる。

江の島から「トンボロ」をつなぐ階段。使用できるのは干潮など自然条件がそろった日だけに限られる。

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 江の島と片瀬海岸が地続きになる自然現象「トンボロ」を観光資源として活用するための常設階段が完成し、5月14日に竣工式が行われた。

トンボロから階段を上る鈴木恒夫藤沢市長

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 トンボロは干潮により海底が露出し、島と陸を結ぶ道状の地形が現れる現象。藤沢市観光協会によると、江の島では潮位が20センチ以下になる年間約60日のうち、1時間ほど島まで歩いて渡れる「海の道」が出現する。

 この現象の注目度が高まる中、観光協会では2023年度からPRを強化。片瀬海岸から島に渡る際、島北緑地の高さ3メートルのフェンスが障壁となるため、これまでは4月~8月の期間に仮設階段を設けてきた。2024年度には約1万7000人が利用したが、幅60センチと狭く、上下いずれかの一方通行に限られた。利用者の列ができる状況や、毎回の設置費が約25万円かかることも課題だった。

 そこで観光協会は神奈川県に常設階段の整備を依頼。2年越しで実現に至った階段は幅2メートル以上で、中央に手すりも備わり、安全性と利便性が大きく向上した。使用できるのは干潮など自然条件がそろった日だけに限られる。

 竣工式には江島神社の神職による神事が執り行われ、藤沢市の鈴木恒夫市長、神奈川県の橋本和也副知事、観光協会の湯浅裕一会長らが出席。海辺に並んだ椅子には関係者が整列し、厳かな雰囲気の中で式典が進められた。

 鈴木市長は「江の島が描かれた浮世絵にも見られるように、歴史あるこの地で歩きやすさが実現したことは意義深い。多くの人に自然や文化の魅力を知ってもらう機会になれば」と期待を込める。

 観光協会の湯浅裕一会長は「トンボロをきっかけに、江の島の自然や歴史に触れられる新しい観光スタイルが根付いていけば。今回の整備が江の島観光の新たな目玉になることを願っている」と話す。

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