近代美術館で新作中心の「内藤礼」展-空間全体を現代アートに

「恩寵」2009年 撮影=畠山直哉。展示は空間全体を作品とするインスタレーションの手法を用いている

「恩寵」2009年 撮影=畠山直哉。展示は空間全体を作品とするインスタレーションの手法を用いている

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 鶴岡八幡宮境内に位置する神奈川県近代美術館 鎌倉(鎌倉市雪ノ下2、TEL 0467-22-5000)で現在、「内藤礼 すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」が開催されている。

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 同展はフランスの思想家・作家のジョルジュ・バタイユの著作『宗教の理論』に記した一節をタイトルとし、坂倉準三設計のモダニズム建築として知られる鎌倉館に、内藤さんの新作を中心に展示空間自体を作品とするインスタレーションを行うもの。

 現代日本を代表するアーティストの一人として知られる内藤さんは1961(昭和36)年広島生まれ。1985(昭和60)年に武蔵野美術大学を卒業後、80年代後半から「地上の生と世界との連続性」をテーマに糸や布などの繊細な素材と光や水などの自然の要素を用いた作品を制作。「秘やかな、それでいて確かな存在感を放つかたち」に昇華させ、国内外で静かな注目を集めてきた。

 今回の展示では鑑賞順路は定めず、屋内の閉ざされた展示室と館外の自然が交錯する中庭や彫刻室など、鎌倉館独自の環境を生かした展示となっている。展示会担当学芸員の三本松倫代さんは「展示ケースの中に来場者が立ち入って鑑賞するなど、内藤礼がその意匠や周囲の自然を含む環境と対峙して作り出した作品空間と、新たな展開を感じさせる新作の数々が見どころ」と話す。観賞者からは「鎌倉館ならでは、内藤礼ならではという、両者のコラボレーションへの好意的な感想が多い。作品写真やテキストなど図録の出来上がりを含めて、内藤礼の仕事の質の高さに好評をいただいている」と話す。

 同展が始まった11月14日から12月27日までの入館者数は約5,900人で、週末は各日200人ほどの来場者があるという。

 開催時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(1月11日は開館、同12日休館)。観覧料金は一般700円ほか。今月24日まで。11日には内藤氏によるアーティストトークを、17日には担当学芸員によるギャラリートークを開催。いずれも14時から。申し込み不要。参加無料(同展の観覧券が必要)。

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