北鎌倉の建長寺(鎌倉市山ノ内)で6月13日に開催される「巨福能(こふくのう)」の鑑賞受け付けが4月26日より始まった。「巨福」は同寺の山号。
巨福能が行われる建長寺の龍王殿。六間取り平面の周囲に低い高欄を持つ縁を廻らす
同行事は、建長寺創建750年を記念して2003年に能が奉納したことを機に毎年開催されているもの。今年は能にも多くの題材を得た歌物語「伊勢物語」を題材に、飯島晶子さんの朗読と仕舞「雲林院」(シテは井上貴覚さん)、「井筒」(シテは高橋忍さん)で物語全体の雰囲気を味わい、第九段「東下り(唐衣 着つつなれにし褄あれば はるばる来ぬる旅をしぞ思う)」の段に焦点を当てた能「杜若(かきつばた)」のシテを金春流能楽師・辻井八郎さんが演じる。
朗読を行う飯島さんは、NPO法人日本朗読文化協会理事を務める朗読家。「被爆ピアノ朗読コンサート」や化庁芸術祭参加「秘花」、「浮世絵でつむぐ江戸物語」など、朗読公演のプロデュースも数多く手がける。一方、「杜若」でシテを務める辻井さんは1979(昭和54)年に初シテを務め、1998年にシテ方若手の会「座・SQUARE」の旗揚げに参加。能の謡や舞を担当するシテ方、金春流の中堅として活躍し、舞の美しさに定評がある。母(故人)は重要無形文化財保持者の金春流能楽師・仙田理芳(せんだりほう)さん。
同日、建長寺に鎌倉時代から伝わる建長(けんちん)汁と北鎌倉「光泉」のいなりずしを味わう「発祥の地で建長汁を味わう会」も開く。予約一席800円、当日一席1,000円。
建長寺法務部長の田原良平さんは「舞台と客席が近く、目の前でシテのしぐさが見えるので迫力ある舞台を鑑賞いただけるはず。趣を添える本場建長寺の建長汁と光泉のいなりずしも楽しんでほしい」と話す。
開場は13時30分、開演は14時。鑑賞料は7,500円、ペア券1万4,000円。全席自由、250席。申し込み順に割り振られた整理番号順に当日入場する。申し込みは建長寺 巨福能係(TEL 0467-22-0895)まで。