ビーチサンダル専門店「げんべい商店」(葉山町長柄)が移転し、12月10日から新店舗で営業を始めた。移転先は同じ町内だが、およそ150年の歴史がある創業地を離れたことになる。新店舗は約230平方メートル。8台分の駐車場にバリアフリー対応の広い通路などを備える。
創業地の葉山町堀内には、当時から続く店舗と後からできたもう1店舗が道路を挟んで立っていた。来店客が増えるのに従い、店側は路上駐車や道路の危険横断などに危機感を感じるようになっていたという。創業地を離れることについて、ファンからは賛否両論あるというが、「とにかく家族はほっとしたというのが本音」と5代目店長の中島広行さん。
創業は江戸末期。最初は足袋などを扱っていたが、50年ほど前からビーチサンダルを販売するようになった。それまで地元客を相手に店頭販売を中心に行っていたが、2001年にホームページを開設。おなじみの丸印の中に「げ」と書かれたロゴが登場したのを機に次第に人気が高まった。今や国内外の著名なアパレルブランドをはじめとした企業とのコラボビーサンも200を数え、ロゴ入りTシャツなど関連グッズも好調だ。
「下手に変えなかったのが良かったのでは」と中島さんが話すように、げんべいのビーサンは販売当初から作り方が変わっていない。台はかかとに向かって高くなっており、足に自然とフィットする形。鼻緒にはやわらかい天然ゴムを使い、今でも手作業で一つひとつ取り付ける。「台と鼻緒の2パーツだけだが奥が深い」(中島さん)。
ビーチサンダル販売を始めた当時は、海外のリゾート地向けの輸出販売が中心だったため、毎日履いても壊れない耐久性と足が痛くならない工夫が求められた。サイズも普通の靴のようにセンチ単位で展開。「日本人のものづくりに対する情熱が品質を支えた」
ただし、ネット販売をしているのは今でも無地のビーサンだけだ。Tシャツなどの人気グッズも一切販売しない。「ちゃんと店に来て、知った人に買ってほしい。それだけは譲れない」と中島さんは語る。
今では子どもから大人まで、12サイズ、台10色×鼻緒10色の100パターンの色目をそろえる。「せっかくいろいろな色があるので、とにかく履き比べてみてほしい。特に無難に走りがちな男性こそ、カラフルなものにも挑戦してほしい」とも。
営業時間は9時~19時。月曜定休。