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メイドイン鎌倉自転車誕生 カーデザイナーが「新しい乗り物」形に

山田さん(左)と企画・開発担当で職人でもある柏木健太さん。ウッドデッキのある本社の庭で

山田さん(左)と企画・開発担当で職人でもある柏木健太さん。ウッドデッキのある本社の庭で

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 ポプロモビル(鎌倉市由比ガ浜2)は11月14日、カーデザイナーがデザインし鎌倉で組み立てる新しいスタイルの自転車「populo1(ポプロワン)」の販売を始めた。

古民家の本社内には大鏡を用意。試着するようにポプロワンを合わせて見ることができる

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 2つの自動車メーカーでチーフデザイナーを務めるなど30年間カーデザイナーとして活躍後に独立した山田敦彦さんが、2013年に新たに立ち上げた同社。自転車作りを始めたきっかけについて山田さんは「当時飼っていた犬が亡くなったとき、いつも家族の暮らしに寄り添う存在の大切さに気づいた」と話し、「どんな時も身近にあるもので、自分の技術や経験を生かしながら個人レベルで商品化できるのが自転車だった」と続ける。

 コンセプトは「乗る人を美しく引き立てるアーバンバイク」。どんなシーンやスタイルにも合うようにできるだけシンプルなデザインで、乗り降りしやすく、取り回しが良く、収納性にも優れた新しいタイプの乗り物を目指した。

 デザインのポイントになるのはU字型のステンレスフレームだったが、自転車製造の拠点がすでに台湾や中国に移ってしまっていたため依頼先を探すのに苦労した。「日本のものづくりの力を信じて探すと、静岡県掛川市で70年以上もオートバイのマフラーを製造している榛葉鉄工所にたどり着いた」という。設計、試作を繰り返し、軽量でありながら高剛性で美しい製品が出来上がるのに2年半を費やした。「10年保証を付けているが、50年、100年持つかもしれない自信作に仕上がった」と胸を張る。

 イタリアで色を特注したサドルをはじめ、パーツは台湾、フィンランド、オーストラリア、日本などから品質やデザインを考慮しセレクトした。JIS規格をクリアしながら、心地よく安心して乗ることができる自転車が出来上がっていった。   

 組み立ては、若宮大路「一の鳥居」の脇に建つ築80年の古民家の本社に併設した工房で行う。分業制ではなく一人の職人が全ての工程を担当し、最後に自分のスタンプを押す。

 自転車を選ぶところから豊かな体験をしてほしいと本社をブティックに見立て、同自転車と自分を映すことができる大きな姿見も用意した。「鏡の前に立つと誰もがニコニコし、試乗した本格的なサイクリストが『こんなに走るとは思わなかった』『これまでにないカテゴリーの乗り物だ』と驚き、ママチャリ愛用者にも『乗り心地に違和感が無く、しかもおしゃれ』と喜んでいただけた」と言う。

 山田さんは「もう自転車作りは日本では無理だと言われており成功例も少ないが、志に賛同してくれる人が集まってくれた」と話し、「人が移動する手段としてこれまでにない新しく楽しい乗り物ができた。デザインも機能もフィットする鎌倉で、新たな街乗り自転車の文化をつくっていきたい。気軽に試乗を」と呼び掛ける。

 同自転車は本体価格15万7,000円(税別)。試乗の予約や注文、カスタマイズなどはホームページから申し込める。

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