JR茅ケ崎駅北口の「カレーハウス ブータン」(茅ケ崎市新栄町1)が5月25日、閉店した。創業43年の老舗で、全てのメニューにみそ汁が付き、テーブルの上に福神漬けとラッキョウが入ったつぼを置き、「昭和のカレー」として親しまれた。
森田店長とスタッフの高齢化により閉店を決断したという同店。3月に閉店を発表してからは来店客が急増し、仕込み数を増やして対応してきたという。森田店長は「とにかくお客さんに支えられてやって来られた。懐かしい顔もたくさん来てくれるが、最近は来店が多すぎて…」と話していた。
ブータンのカツカレーは、子どもや高齢者でもかみ切りやすい薄めのカツが特徴。サクサクの衣の食感がより楽しめ、肉が薄いので揚げ時間が短く、胃もたれしない。好みで辛口も選べる。店内はカウンター11席のみで、スタッフ3人で調理、盛り付け、皿洗い、接客など全てを行っていた。
経営する湘南山鉄(元町3)の山口利通社長は「地元の皆さんに喜ばれ、43年間やってこられた。カウンターのアンケート用紙に、『小学生の頃から30年以上通いました。今までありがとう』など、感謝のメッセージをたくさん頂いた」と話す。「以前、ラーメン店を経営しており、同じ国民食のカレー店を始めてみようと思ったのがブータン誕生のいきさつ。目の前でカツを揚げて、できたてを食べるからさらにおいしい。オープンキッチンの先駆けだったのでは」とも。
最終日は開店30分前の10時30分に30人以上が並んだ。行列のため、副菜のサラダ提供、テイクアウト対応、単品トッピング注文は取りやめ、さらに11時50分にはスペシャルカツカレー、スペシャルビーフカレーも売り切れた。
昼時の12時過ぎには100人前後に行列が伸び、人だかりを見た往来の人が「えっ、閉店しちゃうの?」と驚き寂しがる姿も。常連客の中には森田店長にお礼を伝えたり、記念写真を撮ったりする人の姿もあった。
体調を心配する来店客らへ森田店長は「腰は曲がっているけど、まだまだ元気。皆さん、長い間、ありがとうございました」と笑顔で応えていた。