藤沢駅前の商業ビル「フジサワ名店ビル」(藤沢市南藤沢)が9月20日、新聞型のタブロイド誌「名店シンブン」を発刊し、市内の主要新聞への折り込みを通じて配布した。
フジサワ名店ビルは1965(昭和40)年創業の商業ビルで、精肉店、鮮魚店、青果店、書店、喫茶店、総菜店など30店ほどが軒を連ねる「藤沢の台所」。古くから藤沢駅前の商業拠点として親しまれてきたが、今年6月、2027年夏の閉館が発表されている。
運営会社取締役の増田隆一郎さんは「地元の人に親しまれたフジサワ名店ビルが閉館するフィナーレに向けて、新しく藤沢市に引っ越してきた人や、若い世代にも注目してもらえるような企画にしたいと考え、『名店シンブン』の発行を決めた」と話す。
同誌は、タブロイドマガジン誌「OFF SEASON」などを手がける編集ディレクターの佐野崇さんと、アートの分野を専門とする実弟の増田豪介さんら3人で手がける。名店ビルにゆかりのあるアーティストや、世界観を表してくれるクリエーターが1人1誌を担当する連作企画として構想。年間3回の発行で、合計9号の発行を予定している。
増田さんは「コンセプトは『カオス』。この建物そのものがカオスと言えるので、コンセプトに据えた。初回のゲストクリエーターは、藤沢市に長く住んでいたイラストレーターの安斎肇さんを選んだ」と話す。「初回打ち合わせの際にコンセプトを伝えたら『カオスを表現するには、すごろくがいいね。 でも、それじゃ手間がかかって締め切りを守れない』と話していたが、出てきた作品は『すごろく』だった。締め切りは結局、2回遅れた(笑)」とも。
その他の企画では、ビルを支える裏方にスポットを当てた「名店ジンブツ」や、ビルの知られざる秘密を紹介する「名店トリビア」、名店ビルのカオスなところにスポットを当てる「だから、名店ビル」など、連載形式で同ビルの魅力を再発見する。
増田さんは「裏表紙コラムを手がける、元プロサーファーで写真家・ライターの船木三秀さんは、名店ビル隣の居酒屋でアルバイトをしていたなど、名店ビルを愛するクリエーターが集結して作っている。特集を担当するゲストクリエーターも、このビルにゆかりのあるアーティストに一人ずつ登場してもらう。あっと驚くようなビッグネームも予定しているので、まずは1号を読んで楽しみに待っていてほしい」と話す。
チラシはビル内にも配架するほか、近隣の飲食店などにも配布予定。次回折り込みは12月を予定。