藤沢・片瀬の龍口寺(藤沢市片瀬3)で11月14日・15日の2日間、「第15回 龍の口 竹灯籠(たけとうろう)」が行われた。約3000基の竹灯籠が境内を柔らかく照らし、秋の夜を幻想的に彩った。
本堂前には施餓鬼壇(せがきだん)を設け、訪れた人々が先祖供養や故人への祈り、願い事などを静かにささげる姿が見られた。揺らめく明かりが照らす境内は、祈りの世界へと誘うような厳かな雰囲気に包まれた。
この催しは、かつて境川の河口で行われていた「灯籠流し」に代わる行事として2010(平成22)年に始まり、2022年からは開催時期を夏から秋へ移行。落ち着いた季節ならではの風情を楽しめる催しとなっている。
境内には、神奈川県で唯一の木造五重塔がそびえ立ち、竹灯籠の淡い光に浮かび上がる姿はひときわ存在感を放った。歴史ある建造物と竹の明かりが織りなす光景は、訪れた人々を楽しませた。
来場者の一人は「忙しい日常の中で訪れたが、ひとときの間、先祖を思い、心静かに過ごす時間を持つことができた。美しい灯籠に見とれてしまった」と話していた。