地域情報誌フジマニ連動企画
提供:地域情報誌フジマニ 制作:湘南経済新聞編集部
この街はこんなにも天国みたいなところなのに、なぜ朝の藤沢駅はこんなにも地獄なのか?今朝も満員電車に乗り込む際に男性が「なんで押すんですか!?」と怒鳴り、それを言われた 女性は「なんで私に怒鳴るんですか!」と泣き出して…。毎朝、多かれ少なかれ実際に起きている小さな地獄。それが日常になっている風景を、疑問に思うときがやってきました。
働き方改革の旗印の元、フレックス、時短、リモートワーク…さまざまな選択肢が提示される中で、はたと気付く。いや待て、そもそも「本当に東京で働くべきか?」。神奈川県と東京都の年収差は約80万円*1。都内で働くと、ざっくり月収が6.6万円増える計算!ところが、その6.6万円を平均勤務日数の22日で割ると…1日3,000円。
ストレスフルな往復2時間の満員電車をガマンした対価は、3,000円(!?)。かたや、地元で働く人の平均通勤時間は20分*2。家族と一緒に夕飯を食べて、友達とお酒を飲んで、趣味に没頭して…約2時間が毎日自由に使えるなら、そんな人生が待っています。それでも「都内には面白い仕事があるから」「やりがいがあるから」というアナタ。ご安心ください。この街にも、面白くて、やりがいのある仕事がたくさんあります。そんなこの街の面白い会社の一例を紹介します。この街が好きだから、この街に住んでいるアナタ。お仕事もぜひ、大好きなこの街の中で。
*1 参照:総務省統計局平成27 年統計データ
*2 参照:Facebook 上のフジマニ独自調査、サンプル数120 人
湘南大庭の団地のなかに日本で初めて「小規模多機能型居宅介護」をオープンさせ、「訪問看護ステーション」「ケアマネ事業所」などの事業を運営するのが株式会社ぐるんとびー。代表の菅原健介さんが学生時代を過ごした"世界一幸せな国"ともいわれるデンマークで広く尊敬されている哲学者であり教育者でもあるニコライ・フレデリク・セヴェリン・グルントヴィから「ぐるんとびー」と名付けたのだそう。その名前には、地域を“ぐるんと”大きな家族にしたいという願いも込められているといいます。「介護事業をメインにしていますが、高齢の方だけではなく、この街を良くしたい。より良い街に家族とくらしたいという思いが根本です」菅原さん。
そんな菅原さんが忘れられない人がいるといいます。それがぐるんとびーの最初の利用者。その方は末期のがんに冒された83歳の男性でした。その方の最後の望みは40年間続けてきた趣味である水泳をするということ。家族は体力や免疫力が落ちている男性を心配してプールに入ることは当初否定的でした。そのときにその利用者がこう言ったのです。「人が死んでもいいからやりたい、と言っていることを止めるのが医療や介護の仕事なのか。そんな仕事ならやめちまえ」と。菅原さんは、主治医や家族、医療・介護スタッフと準備を進め、その男性とプールに出かけました。1時間ほどプールで過ごし、満面の笑顔でプールを後にしたその1ヶ月後にその男性は旅立ったといいます。「その方の言葉がぐるんとびーの原点です。人は何歳になっても、自分の意思に基づいて自己決定することで、生き生きと時を重ねていくことができる。そのお手伝いをしたいんです」
ぐるんとびーには、日中子どもたちの元気な声が響きます。それは、日中は施設を開放し、団地に暮らす人たちが気軽に立ち寄れる場所にしたから。この日も子どもたちがゲームをしながら楽しそうに過ごしていました。その子どもたちの見守る高齢の利用者の優しい目もとても印象的。菅原さんはこういいます。「ぐるんとびーが目指しているのは、介護を通した地域づくりや街づくりです。そのために今いろいろな取り組みが立ち上がっていますし、4月には『看護小規模多機能』がオープンします。まだまだいろいろなことができるはずなので、これからの未来にワクワクしています」
ぐるんとびーのスタッフは、その多くが20代から40代でほとんどが藤沢在住。介護福祉士や看護師、理学療法士、資格はないけれど熱い想いを持った人など、みんなで介護を通して地域をつなぐ活動をしています。そして、ぐるんとびーでは、スタッフが新たな取り組みを始めることを応援しているのだそう。子どもたちがさまざまなスポーツの体験を通して成長できる場を提供する「スポトレ」や、5分500円で買い物同行や電気の交換、ゴミ出しなどを代行する湘南大庭のまちかど「御用聞き」。4月から始まる予定の産前産後のお母さんの心身を支える「産後リハ」など、すでに複数の取り組みが動き始めています。スタッフが生き生きと働いている理由は、それぞれが好きなことをしているからなのだとか。「スポトレ」を立ち上げた理学療法士でスポーツトレーナーの伊藤彰浩さんは「いずれは学校に理学療法士やトレーナーが配置され、スポーツをより安全に楽しめるような社会をつくりたい。そのために今できることをやっていきたい?と話します。伊藤さんと二人で『産後リハ』を立ち上げる理学療法士の南悠さんは「私自身も産後は心身ともに大変でした。でも外で人と接することで気持ちが楽になることも。お母さんたちが安心して笑顔になれる場を作りたい」といいます。
ぐるんとびーのスタッフたちが実践しているのは「藤沢の街で私らしく生きること」。さて、私らしさとはなんだろう? そう考える人もいるかもしれません。介護や街づくりを通してそれを探求できるのがぐるんとびーです。
今年4月にぐるんとびーでは、新しい事業「看護小規模多機能型居宅介護」が立ち上がります。看護小規模多機能型居宅介護(略してカンタキ)はすみ慣れた自宅・地域に暮らしながら『デイサービス』『訪問介護』『泊まり』に加えて『訪問看護』を一体的に提供するサービス。そこに地域交流カフェや駄菓子屋、託児やこどものボルダリングなどを併設します。そこでぐるんとびーでは、看護師と介護福祉士を募集。代表の菅原さんはこんなふうに話します。「看護小規模多機能型住宅介護」のテーマは“もうひとつの家族をつくる地域拠点”です。私たちは介護だけではない、介護を通じて街づくりをしたいと考えています。福祉事業には社会とつながるためのいろいろなとっかかりがあるんです。なので、どうしたら楽しく働けるのか、どうしら社会とのつながりをさらに持てるのかを自分で考えられる方と一緒に働いていきたいと思っています」
自分の住むこの街をもっと良い場所にしたい。より自分らしく生きたい。そんな想いを持つ人はまずは、説明会で菅原さんのお話を聞いて、自分の未来やこの街の未来について考えてみませんか?
神奈川県藤沢市高谷13-8
株式会社ハビリスデザインは「バリアフリーをデザインして笑顔を創る会社」として2012年に起業し「身体障がい」にまつわる事業を行っています。社長の深見勝弘さんは、大工、バリアフリー関係のリフォーム会社、福祉関係の法人などを経て、ハビリスデザインを設立しました。深見さんは「障がいのある方と一緒に『暮らす』を手伝うために、障がい福祉サービスや、支援のために必要な施設の開設・運営や運営委託、設計・施工、コンサルティング、地産地消カフェの運営なども行っています」と話します。左下に募集概要を掲載している、本社と併設の「放課後等デイサービス・はびりす」は、笑顔と学びと家族の時間(心の余裕)を大切にするをテーマにした、身体障がいのある児童を対象とする放課後等デイサービスです。ここには毎日多くの障がいのある児童が集い、スタッフと一緒に学び、楽しみ、一緒の時間を過ごしています。ハビリスデザインのスタッフのほとんどは近隣からの通勤で、年齢も21歳~70代と多様です。会社としても積極的に自治会や地域と結びついていくので、働いているだけなのにどんどん地元の仲間が増えていくという声も。「とにかく、藤沢が大好きすぎる!」という深見勝弘社長はこれからも様々な「障がい」にまつわる新事業を地元で展開していくそうです。春には、藤沢市天神町で新たな施設の開所も予定し、いままさに新たな仲間を募集しているタイミング。この街で、仲間と共に、誰かを助けながら暮らす。そんな多様な職種での仕事がここにあります。一度ホームページをご覧になって下さい。
神奈川県藤沢市鵠沼橘1-17-4 小塚ビル303
よもぎ蒸し専門サロン「Emi plus」。よもぎ蒸しには体の芯から温まることで、本来の健康や美しさを引き出す効果があるのだとか。「歳を重ねてもきらきらした女性でいられるようなお手伝いをして いきたい」とオーナーの田口ちさとさん。エステやよもぎ蒸しの技術を持っているのに、子どもがいることで働けない“ママたち”に思いを馳せ、提携した保育園に子どもを預け、週1回3時間から働ける仕組みも 作りました。技術を活かし、自身も いきいきと働いてみませんか?
神奈川県藤沢市高倉731-202
地元の人間なら一度は食べたことがある中華店「古久家」もいま、社員を募集しています。創業100周年を目指して、賞与年2回、昇給年1回、社保はもちろん、飲食割引制度 ありなど、古い会社にありがちな精神論ではなく「働く」に寄り添った職場環境づくりを推進しています。 その象徴的な仕組が、藤沢店でおこなわれている試食付き面接会。今年2月は毎週木金に「予約制」で実施予定とのこと。調理師免許の取得や、独立開業希望の人も支援する、そんな古久家の「中の人」になるチャンスですよ!
神奈川県藤沢市亀井野2-21-9-2F(本部)
大庭5404-3 205(大庭教室)
不登校等の課題を抱える子どもとその家族の支援、フリースクールや自然体験学習事業、藤沢市や厚木市からの委託事業である学習支援など、幅広い事業を行う「森の仔じゆうがっこう」。理事長の人見窈子さんと弟で事務局長の人見甲子郎さんは「子どもたちと全力で向かい合うことを楽しめて、体力がある人に仲間になってほしい。藤沢に縁がある人だといろいろな場でコミュニケーションがうまくいくと思います」と話します。 子どもをサポートすることは、社会の未来を作ることに繋がっています。
私らしく。あなたらしく。この街ではたらく。
今回の特集「この街ではたらく。」はいかがでしたか?取材ではたくさんの方にお会いしましたが、みなさんのいきいきと働いている姿が印象的でした。そんな「この街ではたらく。」一人ひとりが魅力的な街を作っているのだと思います。…とは言っても、「じゃあ明日からここで働こう!」とはならないかもしれません。でもぜひ、心に留めておいてほしいのです。この街で働くという選択肢が実は豊富にあるということを。ぜひいつか一緒に、この街を良くするために働きましょう。私らしく。あなたらしく。