提供:スナックみらぼ 制作:湘南経済新聞
藤沢市内にオープンしたお店のなかで、注目の店舗を取材する企画。今回は、藤沢駅前にオープンした、「イノベーションスナックみらぼ」にお邪魔してきました!
事業部長の鈴木良隆さん(左)と、担当スタッフの貞松尚美さん
藤沢駅南口、ファミリー通りから一本横道に入った場所に、今年5月に開業した「湘南藤沢インキュベーションビル」。このビルの1階にオープンした同店は、湘南エリアで初のビジネス交流を目的にした、ビジネスパーソンや起業家の集うスナック! 株式会社セットの事業部長で、プロジェクトマネージャーの鈴木良隆さんにお話を伺いました!
スナックみらぼの上にあるシェアオフィス「me-labo3」の内観写真
「もともと、『me-labo』というブランドで個室型のシェアオフィスを2018年から運営をしていました。地域に根付いて運営する不動産企画の会社として、個人の方へ夢のマイホームを提供する以外にどんな貢献ができるだろう? そんなことを考えた時、起業家の方に安心して集中できる場所を提供するということが、地域活性における次の貢献になるのではないかと感じたからです。その後の新型コロナ禍を経て、2022年に新たな事業家の拠点を作ることになりました。そこで、ただの空間の提供ではなく、なにか新たな価値を創出できないか? そう考えたんです」
その「価値」の形が「スナック」というのは非常にユニークに感じます。スナックという発想にはどのように至ったのでしょうか?
「大きなきっかけは2018年、五反田にある『コワーキングスナック CONTENTZ分室』(その後『コワーキングスナック Contentz』に店名を変更)へ視察に行ったことでした。コワーキングスペースが運営するスナックだったのですが、さまざまなプロが集まり、ママやチーママも一芸のある人が担って、お酒を交えながらも非常に建設的で面白い会話が交わされるという場でした。単に人が交流するだけならばイベントスペースでもサロンでも良かったのですが、人と人との距離をさらに縮める小道具としての『お酒』が自然にかたわらにあり、初めての人に話しかけたりすることがOKな空気があり、さらに昭和から続く日本独自の文化スポット的な『スナック』を冠した場所がこの街にあるのは面白いなと、そう思ったんです」
コワーキングスナック CONTENTZ分室(現、コワーキングスナック Contentz)視察のときの写真
仕上がったこの場所はまさに昭和の「ザ・スナック!」という感じですね。ここまでに来るのに、どんなご苦労があったのでしょうか?
昭和のスナック然とした内装
「まずは設計と建設の苦労ですね。そもそも住宅を作ることには慣れていても飲食店を作るのは初めてです! 現場監督と何度も打ち合わせをし、カウンターの配置や入り口からの動線、ボックス席の仕様や配置などに苦労しました。さらに、ただお酒を飲めば良いわけではなく、交流が生まれなければなりません。さらに、各テーブルでパソコンを開いたり、資料を使ってプレゼンしたりも想定するわけですから電源やWi-Fiも必要になります。空きテナントの中にスナックを作ったわけではなく、新築のビルの1階にそもそもスナックを作ろうと計画して立ち上がったということで、多少無理が効いた部分はありますが、まずはハード面の設計・建設・内装にまず苦労がありました。ですが、その苦労の甲斐あって、どこも手抜きのない雰囲気のある『スナック』に仕上がったと思いますよ! ぜひとも花柄のトイレなど、覗いてみてほしいです(笑)」
確かにこのベルベットの椅子や壁の仕上がりなど、ハード面は普通のスナックよりも手抜かりなく、豪華かもしれませんね! そしてさきほど「まずはハード面」というふうにおっしゃっていましたが、ハードの次にはどんな苦労があったのでしょうか?
毎日繰り広げられる出来事を共有する、オンラインコミュニティも立ち上げた
「その次にあったのはとにかく、ソフト面の苦労です。コンセプト作りはもちろん、コンセプトを実現するための運営ルールづくり。ドロップイン料金1,000円+飲食代という価格設定。そしてなにより、人材確保の部分です。この『イノベーションスナックみらぼ』で提供したいのは、起業家の支援になる、情報交換やアイディアの壁打ちができるという空間です。起業家の話を聞いて、起業家が自身で見落としている部分や、新たな視点など、気づきを提供できるようなそんな卓越した『ママ』が必要でした。この部分は、2018年から連携を続けている地域の『起業家支援事業者連絡会』のみなさんにご助力いただきました。起業家支援のプロフェッショナルが一肌脱いでくれることになり、毎曜日に日替わりで、慶應大学関連施設、その他ビジネスセミナーの講師を務める中小企業診断士や、行政書士などの士業の方、現役の先輩起業家などのそうそうたる起業家支援者が『ママ』を務めてくれることになりました!」
ホームページの「ママ」紹介ページを拝見しましたが、すごい人材のラインナップですね! 確かに、行政や商工会議所の「起業相談」とかはハードルが高い感じがしますし、ビジネスアイディアが固まっていない状態で行ってしまうのは尚早なイメージがあります。こういう「スナック」のようなざっくばらんな場所で、ビジネスの種や、ちょっとしたアイディアの意見を求めるというのは気楽で、ちょっと嬉しい、これまでになかった場所であり価値に感じますね!
「ありがとうございます! ただ、必ずしもビジネスアイディアがあったり、起業したいという人たちばかりの場所ではないと思ってるんですよ。たとえば普段とは違う人たちと触れ合って刺激を受けたいとか、なんとなくポジティブな空気でお酒を飲みたいとか、そういう漠然としたモチベーションで来店をしていただく方を、むしろ大歓迎しています。『会員制』と打ち出したので敷居が高いと思われている方も多いようなのですが、名前などを打ち込むだけのゆるい会員申込フォームですし、その日に思いついて来店したらその場で1分で登録できます。最近は、近所に住むリタイアした大先輩が一杯飲んで帰るだけ、そんな常連さんもできてきました。『このスナックにはカラオケがないので、カラオケが苦手な自分にはそれが居心地良いので』そんな理由で来店してくれるのも、嬉しいですね!」
名前、メールアドレス、電話番号、職業等を書くだけの簡単な会員登録フォーム
起業家や一部のビジネスパーソンのための場所、そんなイメージがあったので、誰にでも使えるというのは新鮮で、ぐっと敷居が下がりました!
「そうなんです! これからの時代、起業家や事業家というのは特別な考えではなく、本業以外に副業を持ったり、セカンドキャリアとして好きなことや得意なことを地域に還元して、それを自分の居場所や生きがいにしたりという価値観が一般的になっていくのではないかと思っています。『毎日なにか物足りない』、『自分の人生、ちょっと違う気がする』そんなふうに漠然と思って答えが見つからないでいる人も、ぜひ『みらぼ』に来てみてほしいですね。きっとヒントや、もしかしたら答えまで見つかるかもしれません。ポジティブな気持ちを持っている人ならば、誰でもいつでも大歓迎です!」
オシャレなレストランのような外観。中はおもしろいことでいっぱい
これからの株式会社セットとして、インキュベーションの事業分野で目指していくビジョンや、具体的な展望があれば聞かせていただけますか?
「今後は、より専門性の高い事業が行える研究開発型の『ドライラボ』のようなインキュベーション施設づくりにもチャレンジしていく予定です。そして、この街をより良く、面白くしていくためには、やる気のあるプレイヤーだけではなく、アンテナ感度の高いプロデューサーが必要なのだと思います。そんなプレイヤーとプロデューサーを掘り起こして、集めて、繋げて、新たな仕掛けが起こせる。そんな場ができたら最高だと思っています」
プロジェクトアドバイザーの世良信一郎さん(右)を加えたプロジェクトメンバー3人
最後に、「イノベーションスナックみらぼ」を本記事で初めて知った方、または行ってみようかなと思っている人たちに、ぜひメッセージをお聞かせください。
「長々と話してきましたが、簡単にいえば、誰でも1,000円で入店できる、新たなおもしろいスポットが藤沢駅前にできました、ということです! それが『イノベーションスナックみらぼ』です。おもしろいことが好き、人が好き、この街が大好き、そんなポジティブな人たちが集まる、夜の社交場です。集中よりも発散を、吐き出すよりも再構築を、学生も現役世代もリタイアした人もお休みしている人も、そんなキーワードにピンときたら、ぜひ一度体験してみてほしいですね。月曜日から土曜日、19時から23時の間でちょっと気が向いた時に、ふらりと来てもらうだけです。難しいことは何もありません。人生をより良く、面白くするためのヒントや事例が見つかるかもしれませんよ!」
早速今夜、行ってみたくなりました! 鈴木さん、本日はありがとうございました!