メルシャン商品開発研究所(藤沢市城南4)とメルシャン勝沼ワイナリーは、ボルドー大学との共同研究により日本固有のぶどう品種「甲州」に「バラ」のに含まれる香りの一つである「ベータ・ダマセノン」という物質が存在することを確認し、この香りを特徴とする甲州ワインの醸造に成功。研究成果は11月25日に開催される「日本ブドウ・ワイン学会(ASEV JAPAN)2006年大会」で発表された。
同社は1000年以上前に山梨県勝沼で誕生した唯一の日本固有のワイン用ぶどう品種の「甲州」によるワイン造りに取り組み、2000年より「甲州プロジェクト」を発足、研究を続けてきた。2005年に発売された同社商品の開発中に「ベータ・ダマセノン」が含まれていることを発見。今回、果汁を搾る段階の醸造技術の工夫により同成分をより多く果汁中に残し、特徴である「コンポート・ド・ポム(りんごのシロップ煮)と表現される優雅で甘美な香り」(同社)として発現させることに成功した。現在、この研究成果を基に「シャトー・メルシャン 甲州グリ・ド・グリ」の2006年ヴィンテージを醸造しており、来春に発売を予定している。
同研究所の小林弘憲さんは「日本固有のブドウ品種甲州の旨みが封じ込められているので、和食と合わせて味わってほしい」と話している。