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藤沢産の新種のワイン用ブドウ「メイヴ」、今年も収穫 醸造のため北海道に

収穫前のブドウ畑でのショーナンの田中利忠社長(右)と、スタッフの堀江さん。

収穫前のブドウ畑でのショーナンの田中利忠社長(右)と、スタッフの堀江さん。

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 藤沢市遠藤で栽培されている藤沢産の新品種のブドウ「メイヴ」40キロが収穫され、ワインにするために北海道の醸造所に送られた。

収穫前のブドウに手を添えるショーナンの田中利忠社長

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 「メイヴ」は藤沢市で情報通信システム開発を行う「ショーナン」が2019年に譲受したブドウ畑から見つかった新品種。寒冷地でも温暖地でも育ち、病害虫にも強いという特長を持つ。

 社長の田中利忠さんは「2019年から本格的にワイン事業に取り組み、同年は100キロ以上を収穫したが、今年は8月の初めまで雨が降ったことと、急に暑くなったことでブドウが割れ、不作となった。糖度が上がらず悩んだが、北海道の醸造家と相談し、糖度が低くても作れるということで、初めてスパークリングワインを造ることに決めた」と話す。

 本来ワイン造りには糖度20度ほどのブドウが必要だが、北海道で追熟をしても18度ほどまでしか上がらなかったという。田中さんは「40本くらいのスパークリングワインのハーフボトルが12月から1月に出来上がる。今年は販売せず、関係者への配布用にする」と話す。

 一方で、メイヴの苗の販売事業は好調で、山梨県庁と山梨大学が本格的に県内のブドウ農家へ周知することが決まり、北海道や千葉、沖縄でもメイヴの作付けが始まったという。田中さんは「千葉では漁協が母体になった地域商社がワイン造りに取り組み、魚に合うワインを造って民宿を巻き込むなどしての『町おこし』を考えている。沖縄ではボトリングしたワインを海に沈めて熟成させる試みも始まり、湘南発のブドウが日本中に広がり始めている」と笑顔を見せる。

 市内では、日本大学生物資源科学部の研究室と連携し屋上緑化の植栽としての研究が始まり、多摩大学や地元の社会福祉法人とは醸造所作りのための連携が始まるなど動きが活発になっているという。田中さんは「単にブドウの収穫、ワインの醸造にとどまらず、さまざまな地域と連携して面白い企画を考えていきたい。メイヴの搾りかすで作ったジャムやピクルスなどの商品開発も行っているので、多くの地元の人に湘南発のブドウとワインを知ってほしい」と呼び掛ける。

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