神奈川県立近代美術館 鎌倉(鎌倉市雪ノ下2、TEL 0467-22-5000)で現在、「開館60周年 シャルロット・ぺリアンと日本」展が開催されている。同館を設計した建築家・坂倉準三が来日のきっかけとなり、その後の日本建築デザインに大きな影響を与えたシャルロット・ペリアン。「当館の開館60周年に際し、ペリアンと日本を取り上げることで、建築・デザインの今を考えてみたかった」(主任学芸員の長門さん)と企画された。
「竹製シェーズ・ロング」1941年/1985年再制作、Cassina
ペリアンは、1903年フランス・パリ生まれのデザイナー。建築、インテリア、家具など多岐にわたって手掛けた。1927年に出品した作品が認められ、建築界の巨匠ル・コルビュジエの事務所に入所。ピエール・ジャンヌレらと共同し、鉄やアルミニウム、ガラスなどの新しい素材を使用した住宅設備インテリアで話題となる。1940(昭和15)年に、同僚だった坂倉準三の推薦で商工省の「輸出工芸指導顧問」として初来日。日本の伝統的な素材や技術を同時代の感覚と結び付ける試みに取り組み、1941(昭和16)年「ペリアン女史 日本創作品展覧会 2601年住宅内部装備への示唆」(通称「選擇、傳統、創造展」)を開催。「竹製シェーズ・ロング」などの作品を発表した。
その後戦争の影響でいったん帰国するが、1953(昭和28)年に再来日。東京で「芸術の綜合への提案-コルビュジエ、レジェ、ペリアン3人展」(1955年) を開催する。文楽から着想した椅子「オンブル(影)」をはじめ、違い棚をヒントにした書架「雲」など、自身の日本体験をデザインに生かした作品を発表し高い評価を得る。
5つの章で構成される同展では、家具、インテリアに関する図面、写真資料のほか、ペリアンさんが撮影した写真、交友のあった日本人との書簡など約500点を紹介する。「ペリアンの日本で最初の展覧会が開催されてから70年、彼女が日本から多くの刺激を受け、同時に日本の建築、デザインに影響を与えてきた軌跡を知ってほしい」と長門さん。
展示時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。月曜休館(1月9日開館 )、12月29日~2012年1月3日休館。観覧料金は当日一般900円ほか。11月17日は開館60周年で無料開放。1月9日まで。11月12日と12月17日の14時からはギャラリートークも開催。