平塚市博物館(平塚市浅間町、TEL 0463-33-5111)で現在、今年起こる金環日食などの希少な天文現象を再現するプラネタリウム番組「2012年の天文現象」を投影している。
年の初めに、その年に起こる天文現象を知ることで天文に興味を持つきっかけになればと、同館学芸員が基本的に手作りした番組を投影してきた同館。今年は、国内では25年ぶりとなる「金環日食」(5月21日)、今年を逃すと100年以上見られないとされる「金星の太陽面通過」(6月6日)など特に珍しい天文現象が多く見られるのが特徴で、同番組では平塚でどのように見えるかを約50分で再現。学芸員がその仕組みなどを解説する。映像は、昨年導入したデジタルプラネタリウム「PANDORA」(五藤光学研究所製)によるもの。
金環日食は、国内では1987(昭和62)年に沖縄など一部地域で観測されたが、今回は太平洋側を中心に広い地域で見ることができ、県内ではほぼ全域で金環日食の観測が可能とされている。
「この現象は『金環食帯』と呼ばれる帯状の地域でしか見ることができないが、その中心線が通る平塚市内は非常にいい観測条件」と話すのは同館学芸員の塚田健さん。帯の中心に近い場所ほど金環日食が長く見られ、形もきれいで完全なリング状になるという。国立天文台によれば、同市では5月21日7時31分過ぎから金環日食が始まり、約5分間続く。同33分30秒ごろには太陽の88.4%が月に覆われる。
このほか、6月6日に金星が太陽の前を通過し太陽の前を黒点が動くようにみえる「金星の太陽面通過」、火星が地球にわずかに近づく「火星小接近」、月が金星を隠す「金星食」なども紹介。昨年12月3日の投影開始から幅広い年齢層が来場しているが、子連れの家族やシニア層、熱心にメモや質問をする観賞者が多いという。
塚田さんは「2012年は、これを逃すと一生見ることができない可能性が高い天文現象がめじろ押し。ぜひこのプラネタリウム番組を見て予習をし、準備万端整えて実際の現象を見てほしい」と話す。
投影は土曜・日曜の11時~、14時~。観覧料は200円。1月29日まで。