大磯の聖ステパノ学園「海の見えるホール」(大磯町大磯)で2月11日、文筆家・田中優さんによる講演「3万人の町からできるコト-地域自給を実現する5つの方法-」が開催され、会場は232人の聴衆で満員となった。主催は大磯の市民団体「町民立環境ネットワーク☆大磯」。
講師を務めた田中さんは1957(昭和32)年東京生まれ。地域での脱原発やリサイクル運動を出発点に、環境、経済、平和などのさまざまなNGO活動に関わり、非政府・非営利の市民団体「未来バンク事業組合」理事長、東日本大震災の被災地復興支援を行う「ap bank」監事などを務める。「田中さんの著作『地宝論』で、これからは地産地消がキーワードであり、次世代の可能性は地域にあるとの内容にふれて田中さんを招いた」と同ネットワーク代表の宮崎淳子さん。
単なる総論ではなく、同町に即した具体性のある講演内容とするため、人口などの基礎データや第一次産業、観光などを含む町の概要のほか、ごみ処理の現状と今後の展望、地域自給の取り組み例、町の歴史とその資産などのデータを事前に田中さんに提供。当日午前中は実際に町を歩き、午後からの講演に臨んだ。
講演では、「エネルギー」「ごみ」「産業(農業・漁業・商店)」「地域資源」「コミュニティー」の5つの観点から地域自給を主柱とした地域モデルについて講演。各家庭で取り組みやすい節電方法や、省エネ家電に買い替えるための融資モデルをはじめ、わかりやすいデータや事例を挟みながら、「金融」を組み合わせた仕組みづくりの重要性などを力説。予定時間を過ぎる長時間にもかかわらず、来場者たちが熱心に聞き入った。
「単に講演会を聞いただけに終わらせず、具体的に示された事例に倣い何からできるかにつなげたい」と宮崎さん。「モノ、コト、エネルギー、お金が回り、人と人のつながりが互助的になっていくような地域のありようを、次世代につなげるきっかけにしたい」とも。