神奈川県は9月22日、県立大磯城山(じょうやま)公園・旧吉田邸地区(中郡大磯町国府本郷)を部分開園した。
県立大磯城山公園は全体で約9.9ヘクタール。内訳は、既に開園されている区域(旧三井別邸地区)=約7.0ヘクタールと旧吉田茂邸地区=約2.9ヘクタール。そのうち今回約1.8ヘクタールの整備が終了し、吉田茂元首相の誕生日にあたる同日、部分開園した。
旧吉田茂邸は、1884(明治17)年に吉田茂の養父健三が別荘として建てたもので、吉田茂が1944(昭和19)年ごろから、その生涯を閉じる1967(昭和42)年までを過ごした邸宅。今回部分開園した区域では吉田茂元首相が調印した「サンフランシスコ講和条約」を記念して建設された兜門(別名=講和条約門)や晩年よく散歩したといわれる日本庭園のほか、バラ園や管理休憩棟なども整備されている。
「公園整備にあたっては、『庭園と一体となった景観イメージの再現』を最も重要な視点としている。これは、建物だけでなく、庭園を含めたこの敷地全体が吉田茂の愛した場所であり、これを一体的に再現することで、当時の生活、エピソードなどを通して、戦後政治史を見聞し、ひいては、大磯の自然、歴史、文化を体験できる拠点としていくため」と話すのは、平塚土木事務所工務部道路都市課長の森尻雅樹さん。
焼失した本邸について、大磯町が再建することとなっており、2012年度~2013年度に設計を、2014年度以降に建築工事を行う予定。こうした工程を踏まえ、旧吉田茂邸地区2.9ヘクタールの全体開園については2016年度を予定しているという。
開園時間は9時~17時。入園無料。年末年始閉園。