平塚市美術館(平塚市西八幡1)で現在、「藤山貴司展-闇と光の交錯 その彷徨と回顧-」が開催されている。藤山貴司初の回顧展となる同展。総点数56点。初期から晩年に至る代表作を紹介する。
藤山貴司は1950(昭和25)年長崎生まれ。1973(昭和48)年創形美術学校造形科卒業。1975(昭和50)年に渡仏しパリ国立美術学校入学。パリ国立美術学校時代に「キャベツ畑シリーズ」によりサロン・ド・メに入賞。その後、コラージュやレリーフを経て、木炭によりモノクロームの画面で食器や果実を暗示的に表現した。また、創形美術学校の校長として美術教育にも関わった。
作品は、「流出する子供達」(1996年)、「文盲うさぎは舌で世界を知覚する」(1998年)、「目なしウサギの行進・セフィロト」(2007年)ほかを展示する。
同館主査兼学芸員の勝山滋さんは「湘南にゆかりのある作家として大船のモノレールドリームランド線駅舎での作家活動でも知られた藤山貴司は本格的な展示が行われておらず、ぜひ紹介したいと考えた。初の本格的回顧展であり、没後5年の節目として採り上げた」と話す。
「作品には馬やウサギ、壷、アフリカ大陸などが描かれ、何かを暗示している。それは神話であったり、ノアの箱舟であったり、藤山の思い描いた世界観。作品の中で何かを発見し感じていただければ」とも。
開館時間は9時30分~17時(入場は16時30分まで)。月曜休館。入館料は一般200円。12月1日まで。