鎌倉文学館(鎌倉市長谷1、TEL 0467-23-3911)で現在、収蔵品展「冬柏山房(とうはくさんぼう)に集った文人たち」が開かれている。
昭和の初め鎌倉に開かれたサロン「冬柏山房」とゆかりの人々を書画、書簡など約100点の寄託資料で紹介する同展。同所には与謝野寛、晶子夫妻をはじめ、吉井勇、石井柏亭、尾崎咢堂、徳冨蘇峰ら多くの文人が訪れた。彼らは山房の自然を愛(め)で、それを詩歌に詠み、絵に描いて山房に残した。
実業家で多くの企業経営に携わった内山英保は1926(大正15)年、鎌倉の邸宅に書斎を設け、同所は与謝野寛により冬柏山房と名付けられた。歌人、詩人である与謝野晶子は、大正の初めころ内山を知り、同山房に与謝野寛や友人らと度々訪れるなど親しく交際し、山房で多くの歌を詠んだといわれる。
同展では、与謝野晶子の歌や画家の正宗得三郎の画など、同山房を訪れた文人たちが記した揮毫(きごう)帳や、高浜虚子が句、与謝野晶子が歌、三宅克己が水墨画を寄せたついたてなども見られる。近代日本水彩画の立役者とされる洋画家 三宅克己の水墨画は珍しいとされる。
同館学芸員・司書の山田雅子さんは、その狙いについて、「往年の文人たちの交流と鎌倉で開いたサロンの華やかさを紹介したい」と話す。「かつて鎌倉にこのようなサロンがあり、文人たちが歌を詠み、書画を楽しんだ。豊かな文化的雰囲気を感じてもらえれば」とも。
開館時間は9時~16時30分(12月~2月)、9時~17時(3月~4月)。観覧料は大人300円ほか。月曜(1月12日は開館)と年末年始(12月29日~1月3日)休館。4月19日まで。