米アウトドアウエアメーカーのパタゴニア日本支社(鎌倉市小町1)は3月23日に人事異動を行い、パートタイム勤務から入社した辻井隆行さん(前副支社長)が同支社長に就任した。
環境助成金プログラムに顧客の声を反映-パタゴニア(湘南経済新聞)
辻井さんは1968年生まれの40歳。シーカヤックでカナダ・バンクーバー島を一周した経験などを持ち、「夏はシーカヤックガイド、冬はスキーパトロールで生計を立てていた」という1999年、夏季から冬季の間の仕事のつなぎとして同社へアルバイトスタッフとして入社。2000年に正社員に登用の後、本社マーケティング部へ異動。プロアスリート顧客を対象とした割引販売プログラムの立ち上げや、プロアスリートをアンバサダーとして契約する制度を導入するなどの実績を上げ、2003年に卸売り部門のディレクターに就任。昨年5月の副支社長就任を経て、この度の人事を受け、「最も現場に近い支社長」が誕生した。
1988年設立のパタゴニア日本支社は現在、全国に15の直営店を展開するほか、インターネットやカタログによる通信販売も行っている。環境保護活動に世界規模で取り組んでいることでも知られており、売り上げの1%以上を環境保護団体へ寄付しているほか、製品作りでは、環境負荷の少ないオーガニックコットンやペットボトルをリサイクルした繊維などを使用している。
「社員は勤務時間中、いつでもサーフィンに行っていい。サーフィンに限らず、登山、釣り、自転車など、どんなスポーツでも構わない。その分、仕事をする時には熱心に、効率よく、責任感を持って取り組むことを求める」という、フレックスタイム、ジョブシェアリングなどの思想を具現化している同社。こうした融通性の提供を通じてアウトドアスポーツに深い知識と経験を持つ貴重な人材を多く確保し、「社員が楽しく働ける」企業作りをした創業者イヴォン・シュイナード氏の理念が、同社を世界的なビジネスに育て上げたことで知られている。
辻井さんは「創業から続いて来たパタゴニアらしい文化やフィロソフィーを失わず、更にビジネスを成長させていくことが今後の課題。社員一人ひとりが両者共存の必要性を認識し、自己の判断と責任で業務に取り組める社風を醸成していく」と意欲をみせる。