▲実行委員のメンバー。左から西さん、遠藤さん、伊草さん
「ふじさわダブル成人式」開催迫る 合言葉は「いいから来いよ!」
20歳で迎える成人式の「ダブル」ーー今年40歳を迎える、1977(昭和52)年、1978(昭和53)年生まれの藤沢ゆかりの人々が一堂に会するイベント「ふじさわダブル成人式」が今年も4月21日、開催される。実行委員の中から西さん、伊草さん、遠藤さんの3人に話を聞いた。
藤沢にゆかりがあり「40歳になる」という点だけが共通の面々で集まって作り上げる手作りの式典。2012年に第1回を開いて以来、脈々と次世代にバトンが渡り、今回で6回目。実行委員には多彩な面々が集まった。
「今回の実行委員は24人。そのうちメインで動いているのは10人くらい。それぞれ職業も出身も経歴もバラバラで、市議、スピリチュアルヒーラー、女性の住職、電気屋さん、地元スーパー勤務、自動車学校の指導教官、保険のトップセールスマンなど、本当に多種多様。ほとんどが初対面のメンバーばかり」と話すのは実行委員の伊草さん。
前回実行委員会を手伝っていた発起人メンバーを中心に、紹介や自薦他薦、さまざまな経緯で実行委員メンバーは集まったという。「昨年の第5回は1月に実施したので、『実行委員』は決まっていたが、そこから『実行委員長』が決まるまでにしばらくかかった。最初は月2回で始まったミーティングも、直前となる現在では週1回ほどの頻度で集まっている。みんなちょうど働き盛りの年齢で本職が多忙だが、そこはスマホが大活躍。ちょっと目を離していると、グループLINEが『未読100件』とかになっている」とも。
和気あいあいと作り上げている第6回「ふじさわダブル成人式」の合言葉は「いいから来いよ!」。藤沢市議でもある実行委員の西さんは「実行委員会で、まず決まったのが、このキャッチコピーだった。藤沢にゆかりがあって、今年40歳になる人はたくさんいるはずだが、来る理由を見つけるよりも来ない理由を見つける方が簡単だと思う。騒ぐのは嫌いだし、お酒は弱いし、地元じゃないし、地元から離れてたし、友達なんていないし、仕事が忙しいし、家族がいるし…みたいな。でも、そういうゴチャゴチャした理由をぜんぶ断ち切って、この日だけは仕事よりも優先して、『いいから来いよ!』と呼び掛けたかった」と話す。
「わるキュン」誕生秘話
告知ポスターとチラシには、藤沢市民におなじみになったゆるキャラ「ふじキュン●』の隣に『わるキュン』と書かれたオリジナルキャラクターが並ぶ。「昨年のポスターは江ノ島の灯台で、今年のポスターはどうしようか、と実行委員のメンバーでアイデア考えていたときに、まず『ふじキュン●』が使いたいよねとなった。でも、ふじキュン●は『いいから来いよ!』を言わないだろうから、じゃあそのセリフを言わせるためだけに『わるキュン』を作ろうと。でも、そんなために作った『わるキュン』が意外と注目されて取材の依頼も来た(笑)」(●=ハート)(西さん)。
そんな今回の「ふじさわダブル成人式」。実は20年前の成人式の「リベンジ」という側面もあるという。「昭和52~53年生まれの成人式の当日は記録的な大雪の日だった。まだ成人式を1月15日にやっていた頃で、その大雪の影響で成人式に出られなかった人や、振り袖をあきらめた人や、ビショビショになって参加した人も多かった。そこで今回のダブル成人式は、あらためて「張り切る」女性も多い。そういう理由もあるのか、今回は女性の参加率が高い。今の時点で140人くらい。ポスター上は締め切っているが、250人入れる会場を用意したので、まだ募集している」(遠藤さん)
楽しそうに話す3人の実行委員メンバーもまた初対面だったはずが、準備を進める中で交流が生まれ、遠慮が無くなり、仲間になっていったという。遠藤さんが、こんなエピソードを明かしてくれた。
「協賛ポスターを貼ってくれる店を探して飛び込み活動をしていたときに、片瀬江ノ島駅でぐずっている子どもと困っているお母さんがいて、その子を『わるキュン』のキャラクターのチラシであやしてあげた。そうしたら『え、私も40歳です』と。何と、そのお母さんが40歳だった。最近都内から藤沢に引っ越してきたばかりで、「こういうイベントがあるんですね」と、そのお母さんと盛り上がり、そうしたら子ども何だか楽しくなったみたいで泣きやんで、チラシを受け取って元気に帰っていった。当日来てくれるといいなと思っています」
そのほか、来年実行委員をやりたいという男性から連絡が来たり、一つ下の女性がフェイスブックの投稿を見て「来年やりたい」と希望してくれたりして…「波及効果を挙げれば限りない」という。
今回の「ふじさわダブル成人式」の参加費は、思い出になる手土産付きで、事前申し込み=6,000円、当日参加=7,500円。服装は自由だが、着物で来た人には「ちょっといいことがある」という。
「40歳で仲間ができる機会は、なかなかない。今後も付き合っていきたいと思う人に出会って、この会がきっかけでつながって、楽しんでもらって、皆さんの人生に違いが出たらうれしい。昨年はこのダブル成人式がきっかけで出会って、結婚に至ったカップルが2組いた。ひとりで来ても楽しめるし、藤沢を全然知らない人も参加できる。むしろそういう人にこそ参加してほしいと実行委員は準備を進めている。ちょっと勇気がいるかとは思うが、ちょっとした勇気、ちょっとした一歩。『ふじさわダブル成人式』に参加すれば、きっと藤沢で過ごす、この後の人生が変わるはず」(西さん)