葉山・森山神社参道沿いで進められていた賃貸住宅プロジェクト「葉山コンパウンドハウジング」(葉山町堀内)の第1期工事が12月末、完成した。
建物の周囲に残る葉山の緑、景観が美しい、音羽楼跡地の自然共生住宅「葉山コンパウンドハウジング」
かつて由緒ある別荘地だった同所には、葉山の御用邸を手がけた宮大工によって1929(昭和4)年に建てられた楼閣造りの玉塚栄次郎別荘があり、その後、会席料理を出す「音羽楼」として親しまれていた。数年前、開発業者によって建物が取り壊され大規模な宅地開発が進む予定だったが、住民らによる「音羽楼跡地開発を考える会」が発足。同プロジェクトを請け負ったコミュニティー・ハウジング(東京都世田谷区)が宅地開発業者から土地を一括して買い取る所有者を探し、樹木を保存した上で賃貸住宅を建設する計画を立てた。
2008年3月から企画・設計を開始。隣接する森山神社から見た景観、保存した参道側の樹木に配慮して建物の配置や高さを決定。可能な限り造成を加えずに開発した。外壁には葉山の古い民家によく見られる杉板張りを採用。住戸間には境界を設けず、屋外空間を共有することで、同所ならではの生活環境を提案しているという。
第1期の賃貸住宅はテラスハウス4戸。間取りは、1階=寝室2室・浴室・洗面所・手洗い、2階=リビングダイニングルーム・キッチン・書斎・手洗い。1戸あたりの面積は約93平方メートル。賃料は22万5,000円。1月から入居者を募集しており、現在4戸中3戸が決定している。
コミュニティー・ハウジングの木下さんは「貴重な建築や自然は一度失われると取り戻せない。今は、その土地特有の景観や価値ある建築を文化資源として守りつつ発展する仕組みを考える時代。葉山コンパウンドハウジングが葉山の景観に溶け込み、長い年月を通して人々に愛され、この地にとってかけがえのない一部となることを願っている」と話す。
第2期は、第1期の建物と調和するような建物として、現在計画を進めている。