鎌倉の東慶寺・松岡宝蔵(鎌倉市山ノ内、TEL 0467-50-0460)で現在、「佐藤禅忠展」が開かれている。
佐藤禅忠は1883(明治16)年青森県弘前市生まれ。1919(大正8)年東慶寺男僧三世住職就任。4年目の1923(大正12)年に関東大震災が発生。東慶寺の伽藍(がらん)はほぼ全て倒壊したが、再建に奔走し、現在の景観をつくり上げた。書画をこよなく愛した禅忠和尚は自らを「空華道人(くうげどうにん)」と称し、多くの書や画を残した。同展では、布袋様のような風貌で終生仏法を広めることに精進した足跡をたどる。
総点数は70点。禅忠和尚の生涯を紹介する略譜パネルや中学時代からの写真パネル、禅忠和尚の手帳やはがき、禅忠父から釈宗演老師への書などの書簡、観音像、菩薩(ぼさつ)像、だるま、布袋、竜、ぼたんなどの画のほか、宗演老師書の漢詩帖に添えた挿絵や鈴木大拙著書の挿絵原画などを展示する。
特別展企画にあたり、同寺の笹森友香さんは「これまでのように書画作品を展示するだけではなく、幼少時代からの生い立ちを追い、どのようなきっかけでいつ仏道に開眼したのか、その人物像はどのようなものなのか、その人間性に迫りたいと強く感じた」という。
「北鎌倉のゆったりと静かに流れる空気、自然の移ろい、境内のたたずまい。禅忠和尚がつくり上げたこの景観は、時が流れても変わらずに今の人々の心を癒やしてくれる。参拝者にはぜひ展覧会場にも足を運んでいただき、さらに一歩踏み込んで、禅忠和尚の残した足跡と思いを、わずかでも知っていただけたら」とも。
営業時間は9時30分~15時30分。入館料500円(入山料別途)。月曜休館(祝日は開館)。11月9日まで。