鎌倉のはんこ専門店「鎌倉はんこ」が4月、オリジナルの印鑑作りを体験できる「はんこ教室」を始めた。
山梨県の六郷から直接仕入れた印材やカラフルなケースが並ぶ店内。印材は地元を代表する神社で祈祷(きとう)を受けている
今年1月に開店した同店は、依頼者の姓名の画数を八方位学によって鑑定し、希望する吉相になるように印面を作っていく昔ながらの工程が特徴。通販は行わず、常にフェース・ツー・フェースで依頼者に最適なはんこを提供している。
店主の月野允裕さんは祖父の代から続くはんこ店に生まれたが、独立の際に鎌倉の地を選んだ。その理由を「訪れるたびに歴史や『気』を感じ、日本の文化であるはんこを伝えていくのにふさわしい土地だと感じた」と話す。
近隣のはんこ専門店が閉店していたこともあり、開店以来シニア層を中心に客数は順調に伸びているという。「はんこ教室」を企画したのは、若い層や外国人などにも日本の文化である印鑑の価値や魅力を実感してもらうため。試験的に行ったところ好評だったことから、4月から本格的に参加者を募っている。
教室でははんこの意味や製作過程などをレクチャー後、参加者が印材を選ぶ。印面はトレーシングペーパーに自由に描いてもらう。文字だけでなくイラストを使ったデザインも可能で、月野さんがアドバイスする。出来上がった印面をスキャナーで読み込み専用マシンで粗彫り。その後、月野さんが手彫りで仕上げ、世界で一つだけのはんこが完成する。鎌倉の香を染み込ませた50種類のオリジナル絵はがきの中からお気に入りの一枚を選び押印して終了する。
参加者からは「何気なく使っていたはんこの意味を知って驚いた」「自分の書いた文字がはんこになるなんて信じられない」「職人さんではなく自分の手でデザインできるとは思わなかった」「一生大切にしたい」などの感想が寄せられているという。
外国人の名前は「CORALIE」さんなら「呼来利(call、come、benefit)」、「PASKAL」さんなら「刃守和屡(sword、protect、harmony、frequently)」など漢字に変換してはんこにするサービスも行っており好評だという。
月野さんは「はんこ作りというと半日とか一日かかってしまうと思われがちだが実際の所要時間は1時間~1時間半程度。鎌倉観光の一つとして気軽に体験してほしい。教室を通して意味を知っていただき、鎌倉からはんこの文化を発信していければ」と話す。
営業時間は10時30分~18時。水曜定休。教室は1日1組2人限定で要予約。参加費2,000円と材料費1,000円~。申し込み方法などはホームページで確認できる。