茅ケ崎駅から海に向かう雄三通り沿いにある、1964（昭和39）年創業の老舗ラーメン店「サッポロ軒」（茅ケ崎市東海岸北2）が8月4日、建物の老朽化を理由に閉店した。長年愛された味と、カウンター席のみの佇まいが名物の老舗だった。

看板メニューの味噌ラーメンと玉子

　創業した初代は、味噌ラーメンの元祖と言われる北海道札幌市のラーメン店「味の三平」の立ち上げに関わっていたこともあり、味噌ラーメンが看板メニューだった。歌手の加山雄三さんや、サザンオールスターズの桑田佳祐さんも学生時代に通った。全国のサザンオールスターズファンが「聖地巡礼」で訪れる店だった。

　初代が健康上の理由で閉店した後に2代目が継いでからは、藤沢店の出店や居酒屋メニューの充実など経営戦略にも力を入れた。現在の3代目である小田切洋さんは血縁ではなく、「サラリーマン時代に2代目店主に誘われて、半年後に受け継ぐことを決めた」と店を継いだ経緯を話した。

　受け継いでからは茅ケ崎店のみを運営。メニューも絞り込み、近年は味噌ラーメンと醤油ラーメン、夏季限定つけ麺とトッピングのみを提供。地元常連客に親しまれていたが、建物の老朽化が著しく、継続が困難になった。小田切さんは「茅ヶ崎駅南口の物件を検討中で、秋には移転オープンしたい」と話す。常連も口々に「再開したらまた来るからね」と、ねぎらいの言葉をかけていた。