茅ヶ崎市では現在、日本の近代演劇の誕生に多大な貢献をした俳優・川上音二郎の没後100年と、女優・川上貞奴の生誕140年を記念したさまざまなイベントが開催され、市内各所では記念グッズも販売されている。
茅ヶ崎美術館にオープンした「SUN cafe」の1日8食限定「音貞プレート」
俳優・音二郎(1864年生まれ)は、当時の世相を風刺した「オッペケペー節」を寄席で歌い、人気を博した後、芝居の近代化を求めて渡米し興行を行った。一方、妻の貞奴はそんな夫・音二郎を慕って同じく芝居の近代化に取り組み、明治座で「オセロ」を上演、日本の女優第1号となった。
夫妻は約100年ほど前、現在の茅ヶ崎市美術館がある高砂緑地に住んでいた。邸宅「萬松園(ばんしょうえん)」は、日本における演劇活動の準備を始めた場所であり、貞奴が日本の女優第1号となる覚悟を決めて「オセロ」の稽古をした場所としても知られる。
そんなゆかりのある茅ヶ崎美術館では現在、「川上音二郎・貞奴展」を開催。新しく発見された資料をはじめ、国内外の貴重な美術作品などを通して、2人の活動の軌跡や当時の暮らしぶりなどに迫る。市の公募型プロポーザル方式で出店が決まったAsian Bridge(東京・港区)によるカフェ「SUN cafe」も9月10日にオープン。1日限定8食の「音貞プレート」(1,000円)も提供しており、好評だという。展示期間は11月27日まで。
市内を代表するさまざまな店舗では、この記念事業を盛り上げようとオリジナルグッズを製作し販売している。湘南発ファッションブランド「スポーティフ」では、テキスタイルに相当のこだわりがあった貞奴が、当時のポスターの中で着ている着物に着目し作り上げた「バンダナ」(1,500円)を同店と茅ヶ崎美術館内で販売。そのほか、弁当・濱田屋の「音二郎・貞奴弁当」(1,260円)、和菓子店・三鈴の「オッペケペー饅頭」(1個=168円、1箱5個入り=1050円)、熊澤酒造の「大吟醸」(2500円)、ちがさき屋の「音貞ゴーフル」(380円)などがある。
茅ヶ崎市はこれらの記念事業を通じて、市内のさらなる文化の発展を目指すという。