末期がんと向き合いながら執筆に生きがいを見いだしたプロウインドサーファーの飯島夏樹さんの処女小説「天国で君に逢えたら」文庫版(420円)が新潮社から12月20日、全国書店で発売される。
飯島夏樹さんは、日本人で唯一、8年間ワールドカップに出場し続けた世界的プロウインドサーファーだったが、2005年2月28日に肝細胞がんのため38歳で亡くなった。2002年5月に肝細胞がんと診断され、2004年5月には余命宣告を受け「自分は生かされている」と体感、偶然であった執筆活動に生きがいを見いだし、同年7月「天国で君に逢えたら」を発表。発売後3カ月で14刷22万部のベストセラーとなる。
「天国で君に逢えたら」は、国立がんセンター中央病院で「手紙屋」を営む、若く未熟で頼りない精神科医と「がん」という十字架を背負わされた患者、その家族の人間模様を描いた物語。続編の「神様がくれた涙」は、飯島さんの恩師でもある葉山で日本初のプロウインドサーファー石渡常原さん(故人)が、モデルになっていたりと、湘南にゆかりがある内容。
2007年夏には飯島さんの生涯が映画化されることも発表され、俳優の大沢たかおさんが飯島夏樹役を、女優の伊東美咲さんが妻・寛子役を、それぞれ演じる。監督は新城毅彦さん。物語は、飯島さんが死の直前まで自身や家族について綴ったネット連載「今日も生かされています」をまとめた「ガンに生かされて」(2005年3月刊)。タイトルは「天国で君に逢えたら」を予定。大沢さんも映画の役作りのため、11月より逗子でウインドサーフィンの練習を開始している。
飯島夏樹さんの妻、寛子さんは「夏樹のことや夏樹が伝えたかったことを多くの方に知ってもらいたい。映画を観た人が暖かい気持ちになって、ちょっとした勇気を持ってもらえれば嬉しい」と話している。