鎌倉文学館(鎌倉市長谷1)で現在、特集展示「生誕100年 吉田秀和 言葉から音楽を」が行われている。
昨年5月に98歳で急逝した鎌倉市名誉市民で音楽評論家の吉田秀和氏を、著作や原稿など20数点の資料で紹介している。最後まで現役の音楽評論家として活躍した吉田氏が、亡くなる前日に書き上げた原稿22枚の一挙初展示するほか、同じ年の10月に亡くなった親友の作家・丸谷才一氏が闘病の中、吉田秀和氏のお別れの会に寄せた渾身のメッセージの原稿の初展示も見ることができる。
若い時に詩人の中原中也と交友するなど、豊かな知識と経験をもとに「オンリーワン」の音楽評論活動をした吉田氏。愛とユーモアにあふれる美しい言葉で音楽、芸術、文化などを雑誌や新聞で評論し、クラシックファンのみならず幅広い人々に愛された。「音楽評論を文学に昇華した、と評された吉田秀和氏の生誕100年を記念し、常に未来を見つめ評論活動をしていた氏を、展示を通し紹介したいと思い企画した」と話すのは、同館副館長で学芸員の小田島一弘さん。
「柔らかいけれど芯のある言葉は真っすぐ心に届く。ファンの方をはじめ、吉田氏を知らない若い方にも見ていただければ」とも。
開館時間は9時~17時。月曜休館(9月16日・23日は開館)。入場料は一般300円ほか。9月23日まで。