平塚市美術館で「世界絵本原画展」-チェコ人形劇の特別展示も

「ねこのおいしゃさん」©あべ弘士

「ねこのおいしゃさん」©あべ弘士

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 平塚市美術館(平塚市西八幡1、TEL 0463-35-2111)で現在、昨年開かれたブラティスラヴァ世界絵本原画展の受賞・出品作品やチェコ共和国の貴重な人形を展示する「世界の絵本がやってきた ブラティスラヴァ世界絵本原画展(略称BIB展)」が開催されている。

「ハヴァラスの劇場」 フルジム人形劇博物館蔵

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 同展は、スロバキア共和国の首都・ブラスティラヴァで1967年から2年ごとに開かれている世界最大規模の絵本原画展。同館では近年、夏休み期間中に親子で楽しめる絵本関連の展示会を開催してきたが、4年前に開催した「BIB2005日本巡回展」では1万6,000人以上の来館者があり、皇后陛下も行啓し注目を集めた。

 3部構成となる第1部では、BIB2009年展受賞作品11作家88点を展示。「力強い輪郭線と落ち着いた色調が特徴」で、グランプリを受賞したホセ・アントニオ・タシエス(スペイン)、国内外の文学作品の挿絵を数多く手掛け「淡い色彩で緻密に描かれた作品が観る者を魅了する」ヤナ・キセロヴァー・シチェコヴァー(スロバキア)などの作品が含まれる。

 日本人作家の作品を展示する第2部では、金牌を受賞し「和紙にアクリル絵具を使い日本画と洋画の境界を越える独特の技法で活躍する」智内兄助(ちないきょうすけ)、旭山動物園(北海道)で飼育係として勤務する傍ら制作を続け絵本作家となった経歴を持つあべ弘士など、8作家69点を展示する。

 スロバキアの隣国チェコの人形劇を特別展示する第3部は、日本の公立美術館では初の試み。1972年に開館したチェコ国立フルジム人形劇博物館の全面協力を得て、家庭用人形劇場9台、人形約197体を時代順に展示する。家庭用人形劇場は、古くから隣国に支配され公用語であるチェコ語の使用を禁止されてきた歴史をもつチェコで、旅芸人がチェコ語を伝えるために村々を回ってチェコ語で演じたのが始まりで、各家庭で親が子どもに演じて見せる伝統があるという。チェコの人形劇はまた戦後日本の人形劇のルーツとも言われ、チェコの人形アニメの巨匠イジー・トゥルンカに師事し、NHK人形劇「三国志」で実際に使われた川本喜八郎の人形も併せて展示する。

 同館の担当学芸員・安部沙耶香さんは「絵本や人形劇は子どもが楽しむものというイメージがあるが、絵本原画のクオリティーはとても高く、人形劇の舞台や人形もチェコの人形劇の歴史を感じさせるものばかりで、大人の方にも十分楽しんでもらえる内容」と話す。来館者からは「印刷されてしまうとわからない絵本原画の魅力が感じられた」、人形関係者からは「よくこれだけまとまった人形や舞台を借りることができましたね」と感嘆の声が寄せられているという。

 開館時間は9時30分~18時(入館は17時30分まで)。月曜休館。一般観覧料は800円。開催は8月29日まで。期間中の9時30分~16時30分、チェコの人形劇番組「不思議なカップ」(1回42分)も上映する。

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