「2017年もいいことありますように」 大門三郎さん、平塚駅で朝の声掛け年間250日

朝の平塚駅北口利用者にはおなじみの大門三郎さん。通る人に「イエーイ」「いいことありますように」と8年以上エールを送り続けている

朝の平塚駅北口利用者にはおなじみの大門三郎さん。通る人に「イエーイ」「いいことありますように」と8年以上エールを送り続けている

  • 5

  •  

 演歌歌手の大門三郎さんが平塚駅北口で2016年も約250日、奇抜なメークとコスチュームで朝の通勤通学客にエールを送り続けた。

CDアルバム「幸福への道のり」のジャケット写真には素顔の大門さんが。「死ぬまで今のメークのつもり」なので、もう素顔を見ることはできないかもしれない

[広告]

 平日の7時30分~9時ごろまで、親指を立て「イエーイ」「今日もいいことありますように」「何があってもがんばれますように」と一人一人に向かって声掛けをしている大門さん。「カウントしていないし、営業などで地方に行くこともあるので正確には分からない」というが、「始めたのが2009年9月」「年間250日以上」「雨が降っても雪が降っても」ということから、これまで2000日以上も駅頭に立っている計算になる。

 きっかけは2009年に発売したシングル曲「幸せじゃん」のCDジャケット写真。アメリカンドリームをイメージした衣装を借りて派手な化粧で撮影した。その格好で知り合いの社長にあいさつに行ったところ「面白いからそのままで電車やバスに乗ればプロモーションになるのでは」と提案されたという。

 早速オリジナルの衣装を作り、まずは自宅のある平塚で駅頭に立った。はじめは無視されたりばかにされたりもしたというが、次第にあいさつをしてくれる人が増え始め、ハイタッチをしてくれる人や「がんばって」と声を掛けてくれる人、差し入れをしてくれる人まで現れた。「2年にわたる平塚赴任中、毎朝元気をいただきました」と手紙をもらったときには涙が出たという。

 初めのうちは前の晩が遅かったり体調が悪かったりすると休んでしまおうかと迷うこともあったというが、「そんなときに限っていいことが起こるので今では全く苦にならない。人の幸せを祈ると幸せが返ってくることを実感する毎日」だという。

 通勤で平塚駅を利用している会社員の鈴木みなみさんは「初めは変なおじさんだと思っていたが、毎朝みんなに声を掛けている姿を見て尊敬するようになった。気分が乗らない朝も大門さんを見ると元気になって職場に向かうことができる」と話す。

 最近ではテレビ番組で取り上げられたこともあり、行く先々で声を掛けられるという。当初、青地だった衣装は9着目から黄色地になり、現在は19着目。既製品では理想の縦しまのデザインがなく、今では生地から染めてもらっているという。歌謡ショーなどで舞台に立つ際は、全く同じデザインのステージ用衣装を持参して現地でわざわざ着替えるというこだわりも。

 大門さんは1949(昭和24)年、鹿児島県種子島生まれ。1977(昭和52)年に漫談でデビューし、2年後にはウクレレ漫談・牧伸二さんの最後の弟子となった。1984(昭和59)年に演歌歌手としてデビューし、歌に司会にと活躍中。気功の資格を取り「大門氣幸術院」を開業する傍ら、「人が幸せになる手伝いができるなら」とプロカウンセリングの資格も取得した。

 大門さんは「実は自殺寸前までいったことがある波瀾(はらん)万丈の人生。思いとどまらせてくれた家族や支えてくれたたくさんの人たちがいて今の自分がある。いくら感謝してもし切れない。この格好をするのに家族が誰も反対しなかったこともありがたい。この先も死ぬまで24時間大門三郎を演じるつもり」と涙ながらに話し、最後に「イエーイ、2017年も皆さまに絶対にいいことありますように」と親指を立てた。

湘南経済新聞VOTE

湘南経済新聞の読者歴はどれくらいですか?

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース