鎌倉の栄光学園新校舎落成 コンクリートから木造へ、OB隈研吾さん監修

新校舎の1階はRC造主体、2階は木造主体のハイブリッド構造。時代の先駆けとなる「みらいの学校」のモデルを目指した

新校舎の1階はRC造主体、2階は木造主体のハイブリッド構造。時代の先駆けとなる「みらいの学校」のモデルを目指した

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 鎌倉市の栄光学園中学高等学校(鎌倉市玉縄4)は、建て替え工事を進めてきた新校舎が落成し、3月20日、卒業生や報道陣に公開した。

木造部の柱や梁(はり)、外壁などには国産材を、廊下の下駄箱や教室内の棚には神奈川県産のヒノキを使った

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 同校創立70周年事業として2015年9月からコンクリート3階建てだった旧校舎を全て解体し、新たにRC・木ハイブリッド構造で新校舎を建設した。建築面積は既存部分を含め1万2607平方メートルで、大地が近く、仲間が近い、子どもたちが学ぶための理想の環境を目指す「みらいの学校」がコンセプト。

 設計に当たっては、歌舞伎座や新国立競技場を設計した建築家で同校21期生の隈研吾さんを選定委員長に、プロポーザルを実施。日本設計の崎山茂さん(25期生)と岩村雅人さん(34期生)を中心としたチームのプロジェクトが採用された。

 同チームの提案に「最初はありえないと思った」と振り返るのは副校長で70周年事業委員会・建築実行委員長の田村宏夫さん。「3階建てだった校舎をわざわざ2階建てにするというので」と続ける。ところが、プレゼンテーションを聞いて考えが一変したという。「休み時間などには校庭へ出て伸び伸び遊ぶ伝統があり、3階からは下りるのに時間がかかってしまうという。それは在校していた者だからこその発想と思いが込められた設計だった」と話す。

 完成した校舎は全て2階建て。耐震性能を受け持つ鉄筋コンクリートと柔らかく空間を包み込む木造のハイブリッド構造で、施工に当たった大成建設にとっても初めての工法がふんだんに取り入れられているという。架橋工事に用いられる「ゲルバー梁システム」を木造に応用し、従来の木造学校建築より広く高さを抑えた構造の教室が実現。これらが評価され、国土交通省の「木造建築技術先導事業」にも採択された。

 同校は1947(昭和22)年に創立、ミッション系の中高一貫教育を行う男子校。緑豊かな玉縄エリアの丘の上に東京ドーム約2.4個分の広大なキャンパスが広がっている。

 田村さんは「設計チームと熱い議論を重ねながら、隈さんにもアドバイスいただき練り上げた。自然あふれる土地で木の温もりや匂いは生徒の心にも良い影響があるはず。4月には新たな気持ちと校舎で新入生を迎えることができる」と話す。

 新築を機に教室の机や椅子なども入れ替えたが、まだ使えるものは東ティモールの姉妹校に寄贈するという。

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