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ラチエン通りにスポット当て茅ヶ崎の魅力伝える企画展 お化け烏帽子の仕組みも

「お化け烏帽子」を伝える写真パネル。海岸から離れるにつれて烏帽子岩が大きくなるように見える現象を科学的に分析した展示は今回が初めてだという

「お化け烏帽子」を伝える写真パネル。海岸から離れるにつれて烏帽子岩が大きくなるように見える現象を科学的に分析した展示は今回が初めてだという

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 茅ヶ崎ゆかりの人物館(茅ヶ崎市東海岸南6)で、同館が面している通りをテーマにした企画展「ラチエン“ワンダー”ストリート」が開かれている。

会場ではラチエン商会がベンツを皇室に納品した際の写真やラチエン自身が愛用した遺品の展示も

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 ラチエン通りは国道1号線の松林中学校入り口交差点からJR東海道線の異人館踏切を経て海岸線の国道134号線に至る南北約2キロの市道。ドイツ人貿易商ルドルフ・ラチエンが1932(昭和7)年ごろ通り沿いに別荘を建て、後についのすみかとしたことから命名された。

 ラチエンは1881(明治14)年ドイツに生まれ、21歳で商社社員として来日、29歳のとき日本人の土井朝於(あさお)と結婚。その後ラチエン商会を設立し、ダイムラーベンツ社の自動車をはじめ刃物や写真機などドイツ製品の輸入販売を手掛けた。会場ではラチエンの愛用品を展示しているほか、朝於の誕生パーティーなどの様子を収めたフィルムも上映している。

 同展には法学者の仁井田益太郎、洋画家の青山義雄、作家の開高健など通り沿いに居を構えた文化人などの遺品や解説パネル、年表なども並ぶ。「当館のあるラチエン通りには人はもちろん、住宅街、海、商店など茅ヶ崎の魅力がギュッと詰まっている」と話すのは同館を運営する茅ヶ崎市文化生涯学習課の山口貴之さん。「タイトルに『ワンダー』を入れたのは、お化け烏帽子(えぼし)をはじめ驚きと不思議にも満ちていてわくわくする通りだから」と続ける。

 「お化け烏帽子」は、通りから正面に見える海の沖合約2キロにある烏帽子岩が視覚的効果で離れるほどに大きく見える不思議な現象。防砂林や街路が額縁の役割を果たし錯視(さくし)が起きていると科学的に解説されている。

 海岸の134号線に出る右手にあり、かつては湘南のランドマークともいわれ現在は取り壊されているパシフィックホテル茅ヶ崎の模型も展示。解説パネルには「上原謙と加山雄三親子らが共同オーナー」であったことから「著名人が多く集った」と記されている。

 同館は茅ヶ崎ゆかりの著名人に関する資料を収集・発信し、地元の文化を伝えていくことを目的に2015年にオープン。宇宙飛行士の野口聡一さん、元テニスプレーヤーの杉山愛さんなどに関わる展示もしてきた。古民家を活用した展示棟と多目的棟から成り、市民の憩いの場として、生涯学習の場としても利用されている。隣地には開高健記念館も建つ。

 山口さんは「まずはラチエン通りに当館があることを、そして展示を通してかいわいにこんな人たちが住んでいたということ知り、茅ヶ崎の魅力をより深く実感していただければ」と話す。

 開館時間は10時~17時(4月~10月は18時まで)。開館日は金曜・土曜・日曜・祝日。入館料200円(開高健記念館との共通券は300円)。3月26日まで。

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