平塚市美術館(平塚市西八幡1)で現在、「新春の所蔵品展 近世近代の書画-湘南の文人墨客-」が開催されている。
同館のコレクションの中から、江戸時代から昭和戦前期までの書画作品を、文人とその交流という切り口から紹介。文人とは、俗世間と隔絶したところで文雅の世界に遊ぶ知識人・読書人を指す言葉で、もとは中国発祥だが、江戸時代中期以降、日本でも文雅の世界に親しむ人が増え流行する。明治時代にヨーロッパの文化が本格的に流入すると、形を変えながらも受け継がれていく。そうした文人たちとの交流で育まれた作品を展示する。
展示は3つのパートに分かれる。「岡本秋暉の作品と文人の交流」では、明清の絵画を取り入れた花鳥画を得意とし、文人との交流の中で育まれた岡本秋暉の代表的な作品を展示。「近代への継承と変容」と題したパートでは、西欧文化流入により変貌を遂げる文人の書画を展示。「洋画と文人」では、岸田劉生や萬鉄五郎など、文人の理想としたものに新しい解釈を加えて表現を模索した洋画家の作品を展示する。
「湘南地域に関わる作品を中心に紹介しており、かつては、暮らしの身近に詩や書画があったこと、過去の文化の名残が現在の生活にもあることをお伝えできれば」と同館学芸員の江口恒明さん。
開館時間は9時30分~17時。月曜休館(2月11日は開館、翌日休館)。入館料は一般200円。2月11日まで。