慶應義塾大学・加藤文俊研究室(藤沢市遠藤、TEL 0466-49-3619)では7月9日より、フィールドワークの成果を発表するため江ノ電の車内中吊りをギャラリーに見立て、作品を展示している。
人々の集う「場」を都市社会学やコミュニケーション論の観点から考察、調査、研究を進めている同研究室では今回、所属する約20人の学生が2カ月半にわたり江ノ電沿線を歩き、独自の視点で湘南エリアの評価をまとめた。「フィールドノート」(調査日誌)にポータルサイト「湘南Clip」を活用し、中吊り広告のフォーマットとして完成させた。電通ワンダーマン(東京都港区)との産学連携プロジェクトの一環として実現したもので、「観光客が『おみやげ』を持ち帰る代わりに、どのようなかたちで『足跡』を残すか」をテーマにした。
加藤文俊准教授は今回の企画について、「33種類の作品が全28車両に分散して展示されているので、どの作品を見ることができるかは乗ってみるまでわからない。途中下車して次の電車に乗り換えたり、向かい側のホームの電車に乗ったり、すれ違う車両を眺めたりしながら作品を鑑賞してほしい。広告形式をとりながら、実際には学生の作品だということは、知っている人だけが楽しめる。何も気づかずに作品を眺めている人を観察するのも面白い」と話す。
作品は、「ポストがまもるもの」「大町発ひと経由湘南行き」「江ノ電リンク」など。展示は7月20日まで。