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藤沢のラーメン店が「究極の雪平鍋」開発に着手 鍋から出る雑味見過ごせず

藤沢の人気ラーメン店「渦雷」の大西芳実さん。

藤沢の人気ラーメン店「渦雷」の大西芳実さん。

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 藤沢の人気ラーメン店「渦雷」(藤沢市辻堂新町1、TEL 0466-33-5385)の大西芳実さんが10月、東京・合羽橋の料理道具専門店「飯田屋」の飯田結太さんと手を組み、雑味の出ない究極のスープ鍋の開発に乗り出した。

右からアルミ鍋、銅鍋、現在中継ぎで使っているモリブデン製のポット

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 渦雷の店主、大西芳実さんは2001(平成13)年、藤沢市内のラーメン店「七重の味の店めじろ」でラーメン作りを始め、その後鎌倉で「鎌倉麺屋ひなどり」、本鵠沼で「麺やBar渦」を開いた(いずれも現在は閉店)。「麺や渦雷」は2014(平成26)年11月にオープンし、7周年を迎えた。

 大西さんは「渦雷で念願の自家製麺にも着手し、理想の味と店作りを続けている。日本でも数店舗しか取り入れていない浄化装置を導入し、水のミネラルの味を除去するなど、ピュアなスープを作るために水にこだわっているが、半年ほど前にアルミの鍋で沸かしたお茶を飲んだ時に金属の匂いに気付いた。鍋の金属の味がスープに雑味を加えているのではと考えた」と話す。

 その後、飯田さんの著書に出合い、フェイスブックを介して知り合うと、「とことん鍋について相談させてもらおう」と合羽橋の店舗に赴いたという。ラーメン作りへのこだわりや、鍋の金属がもたらす味への影響を相談すると、「これを試してみて」と、銅製の鍋とチタン製の鍋を預かった。その後、鍋ごとに水やだしを沸かして感応テストを繰り返し、チタンの鍋が最も味に影響を与えないと感じたという。

 大西さんは「ケーキ屋をやっている仲間から、菓子職人は氷砂糖で水溶液の純度を確認することを教えられ、試してみるなど、つながりでさまざまな気付きを得た。素材としてはチタンに行き着いたが、チタンは熱伝導率が悪いので、底部を加工して熱を逃さない工夫ができないか、また、硬くて加工がしづらいチタンで取っ手の付いた片口の雪平鍋を作れないか、飯田さんに持ち掛けた。現在、飯田さんを介し、加工工場と共に相性のいい合金探しなど、創意工夫をしている段階」と話す。

 借りていたチタンの鍋は飯田さんに返したため、渦雷では究極の鍋の完成まで、飯田屋で購入したモリブデン製のポットを使って間をつなぐという。

 大西さんは「鋼材ごとにスープの味わいが変わることに気付いたので、雑味が少なくなった分はきちんと材料の味で厚みを出す」と自信を見せる。「渦雷はもともと7年の約束で借りていた物件だったので、年内には移転が決まっている。移転先で究極の鍋をお披露目できれば」とも。

 営業時間は11時30分~14時30分、18時~21時30分。日曜定休。

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