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藤沢市初の酒米収穫 原材料から湘南産の酒造り目指す

トラクターでイネを刈り取る石塚さん

トラクターでイネを刈り取る石塚さん

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 藤沢市で初となる酒米の収穫が9月8日~22日、藤沢市のJAさがみ農協藤沢市稲作部会メンバーの水田で行われた。

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 JAさがみ農協藤沢稲作部会は、これからも稲作を続けていくため、水田農家の情報共有と地域農業の活性化と収益向上のため2020年4月に発足した。また、団体発足により「湘南産の米で湘南の酒を作ろう」という熊沢酒造の呼びかけに対応できるようになり、今回の酒米栽培の一歩を踏み出すことができた。今年の試験栽培では湘南の土地に合った品種と栽培方法を考慮し、比較的特性が安定しており、稲苗の背の低さから風に強いといわれる品種「五百万石」を選定。背の低さを保つため肥料の量を少なめに調整するなどの工夫がなされた。

 市内で初の収穫となった今年、22日には藤沢市西俣野の同会メンバー石塚義章さんの水田で収穫作業が行われ、10アール(1000平方メートル)当たり7俵(420キロ)の収量があり、試験開始当初に予想されていた6俵(約360キロ)を大きく上回った。早生種であることから、台風の被害が出る前に収穫できたことや、肥料を抑えて倒伏を避けられたことなどが、高収量の一因と考えられるという。一方で、スズメの食害などの課題も見えてきたという。

 同部により今年の試験栽培で得られた結果は集計され、実際に酒米を栽培した経験と共に、来年度からの酒米栽培の本格的な導入に向けて検討材料に使われる。

 石塚さんは「近隣の農家からも来年は酒米を栽培したいとの声が上がっている。米価が低下する中、酒米を取り掛かりとして地域の農業に明るい希望が見えれば」と話す。「収入だけでなく、自分たちの作った米が酒になるという楽しさ、夢が、次の世代の農業につながれば」とも。

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