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鎌倉のレンタルDVD店で被災動物記録展-個人ボランティアが開く

福島では犬は外飼いが一般的で、多くの犬がつながれたまま餓死した 

福島では犬は外飼いが一般的で、多くの犬がつながれたまま餓死した 

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  鎌倉のレンタルDVDショップ「レンタル・アイズ  鎌倉駅前店」(鎌倉市小町1)で3月8日から、被災動物の救助記録写真展「ふくしま3.11動物レスキュー記録展~私たちが原発避難区域に向かう理由」が開かれている。主催するのは、新橋経済新聞記者でもあり、個人ボランティアとして単身現地で救助活動を続けている藍智子さん。

腕を咬(か)ませながらも鎖を外すと、笑顔で一人ずつにあいさつに来た

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 展示するのは、昨年4月2日からの記録写真約70点(A4、2Lパネル)と関連資料。サテライト会場として、無償で保護動物の治療や検査、里親探しの協力をしている「ベルジェ藤が丘動物病院」(横浜市青葉区)にも写真を14点を展示する。現場写真は、あくまでも飼い主の確認用や記録として撮ったもので、機材も携帯電話やコンパクトカメラなどさまざま。いずれの会場もチャリティーバザーを同時開催し、ペットとの記念写真が撮れる「わんにゃん写真館」や、保護された犬猫の里親募集コーナーも設ける。

 藍さんが活動を始めたきっかけは、3月末にネットニュース上で掲載された地元住民の声。「つないだまま残してきた犬を何とかしてほしい」。鎌倉出身で福島とは縁がない彼女だが、犬を飼っていることもありひとごととは思えなかった。すぐに車を走らせ、4月2日には現地入り。以来、原発1キロ未満~10キロ前後の福島県大熊町、富岡町、双葉町、浪江町、南相馬市小高区、楢葉町などを主な活動場所として、依頼動物の捜索を中心に放浪動物の給餌給水、保護を行っている。

 現地で避難勧告が出された際、各自治体は「ペットは自宅に置いてきて。犬は必ずつないで、多めに水と餌を置いて」との勧告を出し、多くの住民はそれに従ったことが後の悲劇につながった。「4月は命の瀬戸際だった」と言うように、5月以降は依頼動物の埋葬作業が中心となった。「現場は悲惨の一言。つながれたまま息絶えたゴン。犬の群れに襲われ大けがをしていたロッキー。体重が半分になりながら生きていたローリー。折り重なって死んでいた鶏や豚たち。立つことのできなくなった牛や馬。感情を殺さないととても行けない」と藍さん。報道と現場でのギャップを強く感じるという。「復興とは無縁な所だと感じた」とも。

 藍さんがこれまで保護した動物は約150匹。保護依頼案件のうち、100件ほどが未解決だ。20キロ圏内には、救助を待つ数千匹のペットや家畜が今も残るという。「ある飼い主さんから『家も財産も仕事も故郷も失くした。でも犬が戻って来た。生きる希望をありがとう』と言われた一言が心に残っている。最後の案件が解決するまで見届けたい」

 営業時間は10時~翌1時。観覧無料。3月31日まで。問い合わせは藍さん
(tomoko.ai@gmail.comまたはTEL 080-5069-6159)まで。

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