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鎌倉文学館で「源実朝」展-生誕820年、太宰治直筆原稿なども

鎌倉海浜公園にある実朝の歌碑と由比ヶ浜

鎌倉海浜公園にある実朝の歌碑と由比ヶ浜

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 鎌倉文学館(鎌倉市長谷1)は現在、特別展「生誕820年 源実朝 くりかえしよみがえる歌」を開催している。

現代文学者による実朝秀歌の展示コーナー

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 展示は4部構成。序章では青年歌人実朝とその時代を考証し、第1章では源実朝生誕から非業の死までを紹介。第2章では藤沢周さん(作家)、城戸朱理さん(詩人)、柳美里さん(作家)など8人の現代文学者に、実朝の秀歌をそれぞれ選んで色紙に揮毫(きごう)してもらい、それぞれが「感じていること」をエッセーにしてパネルと共に展示している。第3章は「近代人」としての実朝と題し、正岡子規から斎藤茂吉、小林秀雄と太宰治、吉本隆明と中野孝次、岡松和夫から現代と、明治以降、実朝が文学者たちにどう取り上げられてきたかを、原稿やノートを通してたどる展示内容となっている。展示総数100点。

 実朝は、鎌倉で生まれ育ち、一度も住まいを移すことなく鎌倉で没した唯一の文学者とみられ、「元祖鎌倉文士」とも称される。その歌は、明治の子規に始まる再評価以降、800年を経た現代でも親しまれている。「これまで文学者としての実朝を紹介する展覧会は開催されたことがなかった。生誕820年を記念し特別展を開催することにした」と同館の課長で学芸員の小田島さん。

 今回、法政大学図書館の子規文庫から、めったに貸し出されないという子規旧蔵書を特別に借りて展示。病魔と闘いながら短歌革新への意欲を燃やす子規の心が感じられる。現存する原稿が少ないことで知られる小林秀雄の直筆原稿を特別に見ることができ、太宰治の「右大臣実朝」の原稿も、直筆で読める貴重な機会になっている。吉本隆明の原稿「実朝論補遺」は今回初めて展示されるもの。

 「実朝の歌は、素直な言葉で豊かな心を感じさせるものが多くある。現代文学者の実朝秀歌でも分かるように、全てを言葉で説明しない短歌は、私たちに解釈の自由を与えてくれる」とも。

 開館時間は9時~16時30分。11月19日(月)、12月3日(月)休館。入場料は一般400円ほか。12月9日まで。

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