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藤沢に僧侶が一人切り盛りする飲食店 メニューに「仏」料理も

オーナーシェフで僧侶の佐々木さん。キャッチフレーズは「おなかも心も満タンに」

オーナーシェフで僧侶の佐々木さん。キャッチフレーズは「おなかも心も満タンに」

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 小田急江ノ島線「六会日大前駅」前に1月3日、現役の僧侶が一人で切り盛りするユニークな飲食店「坊さんキッチンen」(藤沢市亀井野1)がオープンし、話題になっている。

カウンターや壁には仏教の教えなどを書いたカードが貼られている。分かりやすく解説するかわいいイラスト付き

 同店のオーナーシェフ佐々木健太さんは浄土真宗の僧侶。料理学校を出て飲食店で働いていたが、24歳の時「ひょんなことで仏門に」入り、ある寺に籍を置くことに。「寺と一般の方の距離がなかなか縮まらないと思っていたところ、一緒に食事をすると一気に親しくなれるのを実感した」ことが同店を開くきっかけになった。

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 料理人としての腕と僧侶としての知識や経験を生かし、料理を媒介に新たなコミュニティースペースを作りたいと考えたという。1年前から物件探しを始め、同駅前ロータリーに面した2階のカフェだった物件に巡り合った。「大学もあり、ちょっと田舎っぽい雰囲気が気に入り決めた」と振り返る。塗装業を営む父親の手も借り、自分たちで白を基調に落ち着いた内装に仕上げた。

 オープンを正月にしたのは、飲食店で働いていたものの全てを一人でオペレーションした経験がなかったため、「お客さまが少ない時期にスロースタートしたかったから」だという。駅前に立てば目に入る同店の看板や口コミなどもあり、1カ月が経過した現在は徐々に客数が増えてきた。

 客層は男性がやや多く、飲食をしながら世間話をしたり、佐々木さんに悩みを相談したりする一人客が中心だという。「混んでくるとフライパンを振るのに忙しくなり、話す時間がなくなってしまうのが課題」と話す佐々木さんをきっかけに、客同士が話を弾ませることも。「縁がつながる様子を見るのがうれしい」と顔をほころばせる。店舗面積は23平方メートル。席数は10席。「ほどよい距離感が安心感や温かさを生み出しているのでは」と続ける。

 和食をイメージしやすい僧侶ながらも、料理は洋食が中心。メニューは「厚切りベーコンステーキ」、ひき肉を豆で煮込みチリパウダーをアクセントにした「チリコンカン」(以上550円)、「若鶏のソテー」(700円)、バターライス(400円)、「豪快 炙(あぶ)りポテトサラダ」(500円)、「en風たまごやき」(600円)など。ほとんどのメニューでシェアできる大盛りも用意する。「パテ ド カンパーニュ」(500円)などフランス料理については「フレンチと仏をかけたわけではない」と笑う。

 2月いっぱいで現在の寺の務めを終え、3月からは同店を「新しいお寺のような場に」。昼間は一人暮らしの高齢者のケアなどを僧侶として、孫のような存在として関わる仕事も考えているという。

 佐々木さんは「僧侶と気軽に話せておなかもいっぱいになりお酒も飲める。今後もお寺ではできないこと、ここでしかできないことに挑戦していきたい」と話す。

 営業時間は18時30分~23時。水曜・祝日定休。仏事などで臨時休業あり。